【リアルなご相談】父がトイレに行こうとしないのですが、何かトラウマがあるのでしょうか?

ノームとトイレ

ももたん
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ひろさん、介護のついてのご相談のメッセージが届いています!

ひろさん
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排泄についての問題ですね。一つ一つ見ていきましょう!

もくじ🔖

1:【リアルなご相談】父がトイレに行こうとしないのですが、何かトラウマがあるのでしょうか?

トイレのマーク

【相談内容】

父はトイレに行かないのです。

家族が「トイレに行こうよ」と声をかけると、やけくそになったような行動をします。

窓越しにこちらの顔をうかがって、隠れて「どうなるかわからないぞ!」といつも言います。

自信がないのか、こちらの出方で変わります。

最近はお尻を拭く癖がつき、トイレットペーパーやタオルを使います。

人に決められたことに反抗的。

「何かトラウマでもあるのかな?」といつも悩んでいます。

結論から言うと、「トイレに行かない」ということが若い頃からの習慣でなければ、何らかの原因があると考えられると思います。

もしかしたらこれからお話しすることを全て実行しても完全に解決はしないかもしれませんが、考えられることを書いていきますので一つづ確認してみてくださいね!

情報が少ないので遠回りすることがあるかもしれませんが、一つずつ整理しながらお話します!

解決のヒントになると嬉しいです😌

2:お父さんの世界を理解する

2−1:お父さんはトイレに行かないことについてなんて言ってるの?

耳の写真

ごくごく当たり前ですが、まずはお父さんに話を聞いてみましょう。

実はこれ。

意外とできていないことが多いんですよね。

その原因はいくつかありますが、例を挙げると「家族や介助者の思い込み」。

そして「エイジズム」。

詳しく話すととても深い話になりますからこれらの話はまた別の機会にします。

今は気にせず、とりあえずお父さんに「どうしてトイレに行きたくないの?」と、その理由を尋ねてみてください。

そこで「実は○○だからだよぉ」と理由が分かればハッピー💕

その理由に対して対策を立てていくことになります。

でも、もしかしたらお父さんが持っている疾患によっては答えが返ってこないかもしれません。

その場合は「観察」が大切になります。

2−2:行動を観察する

女性の目の写真

例えば、失語症などがあり話すことも書くことも難しい場合があります。

認知症も進行すると記憶障害を伴いながら、いろいろな能力が低下してきます。

その結果、自分の気持ちをうまく伝えることができないので、本人も家族もイライラしてしまいます。

今回の場合、お父さんが「やけくそになったような行動をしたり」しているので、お父さんなりにイライラがあるのかもしれません。

一般的な成人男性の場合、トイレの問題で「やけくそになったような行動」はしないので、お父さんの中に何か原因があると思われます。

その原因の糸口を見つけるための観察をしてみましょう。

2−3:お父さんの歴史を紐解こう!

歴史のイメージ

もし。もしですよ!

考えにくいことですが、若い頃から「トイレに行かない」という習慣が身についていて、お父さんが困っていないのであれば今回のケアの対象からは外れるかもしれません。

ただ、家族が困っているのであれば話は別ですよね。

でも介護の場合、「本人が困っているかどうか」が問題になるので、本人が困っていない場合の対策は立てづらくなります。

本人は困っていないけど、家族が困っていること。

「えっ!!」と思われるかもしれませんが、実はよくあることです。

もしそれが疾患や障害が原因であれば介護の対象ですが、単に昔からの習慣であれば変えるのが難しいことも多いです。

この場合は本人と交渉して「家族やまわりが困っているからお願いします」と言って同意と協力をしてもらう必要があります。

一概には言えないところですが、それで変わってくれることもあります。

大切なことは、病気や障害が原因でできなくなってきたのか?

それとも古くからの習慣なのか?

その見極めは大切なことです。

3:お父さんの体調を観察してみましょう!

観察のポイントはたくさんあるので、必要に応じてメモしてくださいね!

3−1:お父さんはいつからトイレに行かないようになったの?

時間が壊れるイメージ

まず最初にトイレに行かなくなった時期を確認してみてはいかがでしょうか?

最初から話の腰を折るようで恐縮ですが、もし若い頃からずっとトイレに行かなかったのであれば、今この問題を解決することは難しいことかもしれません。

しかし「数年前から」とか「数ヶ月前から」トイレに行かなくなったのであれば解決の糸口が見つかるかもしれません。

健康な成人であれば毎日トイレに行くのは当たり前。

でも「ある日」からトイレに行かなくなるのには「原因」が存在すると考えられるからです。

まずはその「ある日」が何時頃だったかを思い起こしてみることが大切です。

理由はあとで説明します。

3−2:お父さんの病気を確認してみる

既往歴と現病歴のイメージ

家族が離れて暮らしていた場合は、親の病歴に疎い(うとい)ことが多々あります。

もし一緒に暮らしていたとしても、親が一人で病院に行っている場合は家族には正確な情報が伝わってこないことだってあります。

お父さんが病院に行くときに家族も同行すれば、家族も医師から説明を聞くことができます。

もし主治医や担当医と一度も話したことがないなら、受診時や訪問診療時に立ち会ってお父さんの病気について確認することが大切です。

すでにお父さんの病気について把握しているなら、「トイレに行かず困っている」ということを医師に相談しましょう。

その時におそらく医師から尋ねられるでしょう。

「いつ頃からトイレに行かなくなったのですか?」と。

トイレに行かなくなった「ある日」を大体で良いので把握しておくと医療のサポートが受けやすいのです。

場合によっては医師が症状が出始めた頃の薬の点検をしてくれるかもしれないし、新たな検査をしてくれるかもしれません。

3−3:お父さんが飲んでいる薬を確認してみる

お薬の写真

医者にかかっていたら、薬が処方されていることが多いと思います。

でも薬の中には副作用を起こすものが多いので、もしかしたらお父さんはいずれかの薬の副作用で「トイレに行かなくなった」のかもしれません。

勝手なことは言えませんが、例えば睡眠導入剤。

誰だって眠たい時に起こされるのは嫌ですよね??

「トイレに行こうよ」と言われても、「イヤ!まだ寝ていたい」ということも考えられます。

他の例えでは向精神薬。

これらの薬の中には「ひどく気分が落ち込むもの」や「やる気を削ぐもの」があります。

反対に気分を上げるものもありますが、いずれにしても向精神薬が原因で「トイレに行きたくない」というケースも考えられます。

他にもお父さんに合っていない「下剤」や「排尿の薬」の服用などが原因となっている場合もあり得ます。

利尿剤や降圧剤が原因になることも考えられます。

大切なことは医師に「本人がトイレに行かなくて困っている」ということを伝えることです。

もしかしたら違う薬に変更してくれたり、同じ薬でも含有量の増減を考えてくれるかもしれません。他の薬の追加や、今飲んでいる薬を中止してくれるかもしれません。

薬の処方は医師の仕事ですが、現状をきちんと伝えることは家族の仕事なので遠慮なく困っていることを医師に伝えましょう。

その前に「出された薬をきちんと飲めているかどうか?」の確認も忘れずに行ってくださいね。

重複する箇所もあると思いますが、以下はこの考え方に沿って観察していきます。

3−4:お父さんの視力が落ちていませんか?

視力検査のイメージ

視力低下が原因でトイレの動作に不安を感じていることはないでしょうか?

歳を取ってくると白内障や緑内障、黄斑変性症など眼にいろいろな疾患が出やすくなります。

視界がぼやけていたり、視野が狭くなっていたりと本人もなかなか気づかないうちに病気が進行していて、無意識のうちに本人の活力低下を引き起こしていたりします。

白内障の場合はは日帰りの手術もできるので、眼に不安を感じたら迷わず眼科を受診してください

3−5:お父さんの聴力が落ちていませんか?

聴力のイメージ

聴力も視力と同じく活動低下を引き起こす原因となります。

「耳が聞こえない」ということを隠そうとするお年寄りもかなりいます。

「誰かが自分の悪口を言っている」と被害的になったりすることもあります。

怒りやすくなったり反抗的になる場合、聴力が影響していることも考えられますので耳に不安を感じる場合は耳鼻科の受診をしましょう。

大きな耳垢が溜まっていて耳が聞こえていなかった!というオチの時も数知れずありますが、本当に難聴の場合もあります。

3−6:おしっこはしっかりと出ていますか?

おしっこをする人形の写真

これは排尿障害を疑っている観察ポイントです。

おしっこの出方にも色々とあります。

若い人が勢いよく出るのと対照的にチョロチョロとしか出ないのであれば前立腺肥大があったり、膀胱が弛緩しきっていることが考えられます。

この場合、残尿感があったり軽い尿漏れを引き起こすこともあります。

尿漏れがあると恥ずかしかったり、その都度パンツを交換することが嫌になることもあります。

結果「トイレに行くのをガマンしよう!」という発想になることも考えられます。

3−7:おしっこが出るまでに時間がかかっていませんか?

膀胱の模型の写真

トイレに行っておしっこが出るまで時間がかかる場合も前立腺肥大などの排出障害が疑われます。

もしくは膀胱の筋肉(膀胱収縮筋)が弛緩してしまっていて収縮しづらくなっているのかもしれません。

膀胱機能や尿道機能が疑わしい場合は、恥ずかしくてお父さんは嫌がるかもしれませんが泌尿器科の受診も視野に入れてみましょう。

3−8:下痢気味ではありませんか?

腹痛のイメージ

トイレに失敗しやすい原因となるのが下痢。

トイレで排泄する前にパンツの中に漏れ出てしまうこともあります。

そうなると恥ずかしいので、誰もいないときに一人でこっそりと処理したい気持ちになることもあると思います。

原因は色々とあると思いますが、下剤を飲んでいれば下剤が影響を与えることもあります。

3−9:便秘気味ではありませんか?

便秘のイメージ

便秘の場合はそもそもトイレに行っても便が出ないのでトイレには行きたがりません。

ただ不快感があるのでなんとかしたいところ。

もしよろしければ便秘を含めた排便の問題の対処法が必要な場合こちらの記事を参照してください。

3−10:お父さんは体のどこかの痛みや不快感を訴えたりしていませんか?

痛みや不快感のイメージ

例えば、足。

足が痛い時はトイレに行くのが億劫になるものです。

足の痛みの原因は整形外科的なものもあれば、痛風のような内科的な原因のものもあります。

はっきりとした痛みでなくても足に違和感がある場合も移動するのが億劫になることがあります。

次に手。

手を動かすと痛みが出る場合なども、トイレでの排泄動作を完結できないためトイレに行くのが嫌になることが考えられます。

「下着を脱ぐ」「排泄の後始末をする」などの動作時に痛みや不快感がないかを観るのもポイントです。

排泄動作の解説はこちらの記事を参照してください。

その他、「排尿痛がある」「(痔などによる)排便痛がある」といったこともトイレに行きたくない原因となることがあるので注意が必要です。

もちろん胃腸の不快感も見逃してはいけません。

3−11:トイレに行きたがらない時間がだいたい決まっていますか?それとも昼夜問わず?

時計の写真

時間帯に関するポイントです。

夜に眠気(ねむけ)が強い場合はどうしても夜にトイレに行くのが嫌になることがあります。

睡眠導入剤や向精神薬などを飲んでいると特に眠気が強くなることがあります。

日中でも生活習慣や薬を飲む時間によっては眠気が強くなることがあります。

また痛み止めが切れる時間帯もあるかもしれません。

パーキンソン病の場合も薬が切れる時間は動きにくくなる時間帯があります。

昼夜逆転があれば、それも影響します。

トイレを嫌がる時間帯が把握できれば、何かしら解決の糸口が見つかることもあります。

3−12:お父さんはよく眠れていますか?

眠れないイメージ

睡眠不足が続くと、いろいろなことにヤル気が起きなくなります。

自律神経が乱れていることにもなります。

排泄は自律神経がコントロールしている部分も大きいですから、しっかりと睡眠が取れていることは大切なことです。

3−13:お父さんに息切れがあったり疲労が溜まっている様子はありませんか?

心疾患のイメージ

こちらは心不全や貧血を疑っています。

これらがあると「動くことが辛い」ということもしばしば。

医療的なサポートを受け、治療できるものは治療する必要があります。

心不全がひどい場合は、少しの動作で息苦しくなることもありますし、動かなくても息苦しくなることがあります。

こうなると生活の多くに影響が出ますので早めに医療機関を受診しましょう。

3−14:お父さんの活気が落ちていたり、逆に上がったりしていませんか?

天秤の写真

身体の異変が伺える場合も医療機関受診の対象となります。

風邪だけでなく熱中症や脱水、尿路感染症、肺炎などにも注意が必要です。

薬を飲んでいる場合は、薬の影響で活気が落ちたり上がったりするので、こちらも医師に相談すると良いと思います。

3−15:お父さんはしっかりと食事が摂れていますか?

食事の写真

活力にも影響しますが、終末期でもないのに食事が摂れていないということは体にとって問題があります。

食事量低下というのは虫歯や口内炎など口腔内のトラブルから、脳梗塞などによる麻痺から起こる問題までいろいろなことが考えられます。

もし食事量が落ちているようなら早めに医師に相談しましょう。

食事量が少ないと排便量が少なかったり、排尿量が少ないなどの影響もあるのでトイレに行きたがらない原因になっているかもしれません。

4:トイレ内やトイレまでの環境をチェックしよう!

4−1:トイレの場所が認識できていますか?

行き場所がわかないイメージ

当たり前すぎて笑ってしまうかもしれませんが「トイレの場所が認識できているか?」「邪魔になるものはないか?」をチェックすることが大切です。

ずっと昔から暮らしている家では問題にならないかもしれませんが、問題になるのは新居に転居したりリフォームをしたあと、全く新しい場所に引っ越した場合です。

今回のご相談のケースでは当てはまらないと思いますが、病院に入院していたり施設に入居している場合は「トイレの場所がわからない」といったことが時々あります。

基本中の基本ですが、この点のチェックも忘れずに😆

4−2:トイレまで遠すぎることはありませんか?

これも基本ですが、年を取ってくると若い人のようにサッと動くことが難しくなります。

そういった場合に問題になるのがトイレまでの距離。

「トイレまで遠いから面倒くさいな」と思ってしまって、「オムツでいいや」と言うお年寄りもいます。

体に痛みや不快感がある場合は、余計に面倒臭くなります。

トイレが遠くにある場合、「寝室を近い部屋に変える」「ベッドを寝室の出口付近に配置する」など模様替えをする必要があるかもしれません。

場合によってはポータブルトイレを設置することもアリです。

ポータブルトイレは要介護認定を受けていれば介護保険を使って購入できます。

購入の際は担当のケアマネジャーさんに相談してみてください。

もしかしたら事業所に余っているポータブルトイレがあれば無料で、、。

いやいや😅

本来ポータブルトイレは肌が直接触れる福祉用具なので使い回しには適さない「特定福祉用具」に分類されています。

特定福祉用具は要介護ごとに定められている、毎月の利用上限額とは別に10万円を上限枠として購入費の9割までが支給されるものです。

できれば保険を使って新品のものを購入しましょう😆

特定福祉用具を購入する際の注意点として、都道府県の指定業者から購入しないと介護保険が使えません。指定業者さんに関しては担当のケアマネジャーさんにご確認ください。

また購入にあたっては「償還払い」といって、先に代金を全額支払い、あとから保険部分が返ってくることにも注意が必要です。

4−3:(逆に)ベッドなどのすぐそばにポータブルトイレがあって嫌な思いをしていませんか?

これはポータブルトイレを使うデメリットです。

ポータブルトイレは水洗トイレと違って、排泄物が流れて行かずトイレの中に溜めるトイレです。

もちろん匂いに配慮してポータブルトイレ専用の消臭剤やポータブルトイレ自体にもフタがついています。

通常ポータブルトイレは排泄動作の自立のため、ベッド脇におくことが多いのですが、それが気になる人には気になります。

ポータブルトイレが万能ではないので、その点には注意が必要です。

4−4:トイレが和式で使いづいらいことはないですか?

和式トイレの写真

最近は和式のトイレは少なくなりましたが、旧家だとまだまだ和式トイレのお宅もあります。

もし洋式トイレに改修したい場合、介護保険の「住宅改修」という給付を利用することができます。

住宅改修は要介護状態区分(要介護度)にかかわらず、支給限度額を20万円として、住宅改修に要した費用の9割が、介護保険から支給されるものです。(2020年8月現在)

ただし「手すりの取り付け」「段差の解消」「開き戸から引き戸への変更」など、他の住宅改修費用を総合して20万円までなので、優先順位をつけて工事を依頼したほうがいいです。

「どれを優先するか?」は当然人によって異なります。

保険が使えず実費になりますが、和式トイレから簡易的に洋式トイレに変えるアタッチメントもありますので、それらも合わせて検討すると良いでしょう。

4−5:トイレの便座がお父さんにとって冷たすぎたり熱すぎるようなことはないですか?

寒いトイレの写真

季節によりますが、特に冬など便座が冷や!っとすることで、トイレに行くのが嫌になることがあります。

これは誰でも嫌なのではないでしょうか?

ここは迷わず便座が温かいものを選んであげましょう!

4−6:トイレの匂いがひどいことはないですか?

鼻をつまむ女性の写真

トイレの匂いがひどい場合も、トイレに行くのが嫌になる原因の一つです。

掃除するのが苦にならない人もいれば、掃除が苦手な人もいます。

もしトイレの匂いがひどいものであれば、当たり前ですが掃除することが対策になります。

4−7:トイレやトイレまでの道のりにお父さんが嫌がるものはないですか?

ハロウィンのイメージ

クモの巣などがある場合、クモが嫌いな人はそれだけでその場には近づきたくなくなります。

ゴキブリやナメクジも同様に、嫌いな人には大きなインパクトを与えます。

「追い払えばいいじゃん!」と思いますが、苦手なものは触るのも嫌!!

その結果、近づかなくなることがあります。

取り除いてあげたり、駆除剤を撒いて侵入してこないようにしてあげることが大作です😅

4−8:夜などトイレやトイレまでの明るさが不十分なことはないですか?

暗い廊下の写真

これは「トイレに行くのを嫌がる」という問題の他に「転倒」の問題も含みます。

「夜間や未明の転倒→足の骨折→寝たきり」というのは非常にケースが多いです。

家族にとっては十分な明るさだと思っていても、お年寄りは若い人に比べて視界が暗い場合があります。

そのため転ぶのを怖がってトイレに行きたくないケースもあります。

夜間はトイレまでの廊下に常夜灯などを設置する工夫も大切です。

4−9:トイレ内やトイレまでの道のりが寒すぎたり暑すぎたりすることはないですか?

寒そうな廊下の写真

気温も大切です。

マンションはまだ保温性があるところが多いので良いのですが、一軒家だと「夏は暑くて冬は寒い」ところが多いと思います。

その場合、寝室をなるべくトイレに近い部屋にしてあげるか、エアコンの空気を廊下にも流すなどの工夫が必要です。

4−10:トイレのドアが閉まらなかったり、鍵がかからないような不具合はないですか?

古びたドアの写真

家族だけなら「トイレの鍵は閉めないよ!」とか「トイレのドアは開けたままにします」という人もいると思います。

でもお嫁さんやお婿さんと同居している場合、形は家族であっても「他人」です。

同居している場合、トイレのドアが閉まらなかったりトイレの鍵が閉まらないと、トイレに行くことを躊躇してしまうかもしれません。

4−11:トイレの操作方法が難しい感じていることはないですか?

トイレの操作ボタンの写真

最近のトイレはいろいろな機能がついています。

トイレの操作方法が分からないという理由でトイレに行きたがらないお年寄りは見たことがありませんが、トイレからなかなか出てこないお年寄りは時々いらっしゃいます。

疲労感などとつながってくると、もしかしたらトイレに行くのが嫌になることがあるかも??

5:コミュニケーションの取り方を工夫しよう!

5−1:穏やかな話し方になっていますか?

お花を差し出す手の写真

利用者さんとご家族さんの間で、かなり感情的に話しているところをしばしば目にします。

「長年連れ添った家族だから問題ないのかな?」と静観することが多いのですが、人は誰でも、高圧的に話をされると拒否反応を持つもの。

今回のご相談のように「こちらの出方で変わる」のであれば、相談された方は穏やかな話し方ができているのだろうと思います。

5−2:お父さんとトイレについて話すとき、羞恥心に配慮できていますか?

手を差し伸べるイメージ

トイレの話は家族であってもデリケートな話です。

介護現場では羞恥心への配慮をするとき、「話し相手を変える」「援助するスタッフを変える」ということをよくします。

「医師や看護師なら相談しやすい」「娘には言えるけど、息子には言えない」など、人それぞれ話しやすい相手がいると思います。

また「下の世話は男性スタッフにやってもらうのは恥ずかしい」というケースもあります。

私もその人にとって私より話しやすい看護師やヘルパーがいる場合、そのスタッフたちに利用者さんの本心を聞き出すことをお願いすることがあります。

スタッフ間でも援助するスタッフを交代したりしています。

そういったことも援助する人は頭の片隅に留めておくと良いかもしれません。

5−3:トイレについて話をする時、お父さんが理解しにくいような話し方になっていませんか?

2人の会話のイメージ

これはもしお父さんに認知症があったり、失語症、高次脳機能障害などの脳の疾患があった場合の話です。

脳に疾患がある場合、聞いた情報を処理することが健康な人以上に大変です。

話しかけられたことがなかなか理解できずイライラすることも多々あります。

その場合は「はい」「いいえ」で答えられるような質問にしたり、気が散らないようにする工夫が必要です。

短い言葉で話しかけることも必要かもしれません。

5−4:お父さんは共同生活が苦手だったり、誰かがいる時にトイレに行くのが嫌なのではないですか?

シャイなイメージ

これも時々あります。

そもそも家族を含め他人に非常に気を遣う場合。

そうすると誰かが家にいるとトイレに行くのが恥ずかったり嫌になったりすることがあります。

こういう時は考え方をフラットにして、「一人のとき、お父さんはトイレで困っているのかな?」と考えることが大切です。

困っているのであればトイレのアセスメントの記事(失禁の内的要因失禁の外的要因便秘や排便対策)を参照してください。

困っていないのであれば、お父さんにとってはOK!あとはもし家族が困っているのであれば、その内容をまとめて別の対策を立てることになります。(それはまた別のお話になります)

6:【重要】まとめ。問題解決の手順について

困っている人の世界を理解する手順
  • 本人の話を聞く
  • 行動を観察する
  • 生きてきた歴史を見る
問題となる行動の引き金を特定する手順
薬の問題
身体的疾患の問題
精神的疾患の問題
環境の問題
心理的な問題

介護の困った問題を解決するには、まずご本人の困ったことを分析しなければいけません。

そのためには「話を聞く」「観察する」「歴史を紐解く」ことから始めます。

そして「薬の問題」→「身体的に影響を与えているとおもられる事柄」→「精神的に問題を与えていると思われる事柄」→「環境の問題」→「心理的な問題」などを一つずつ洗い出していきます。

それらを一つづつ検証しながら問題となりそうな「引き金」を取り除いていきます。

今まで普通に生活していた人が、急に何らかの問題行動が見られた時、少なからず上記の問題が影響していますので焦らず一つずつ解決する参考になれば幸いです。