便秘の解消法を教えてください。
介護施設で実践していた解消法を教えるよ!
若い人にも使えると思います!
もくじ🔖
1:【排泄の問題】若い人のダイエットにも。女性のがんの死因第1位、大腸がんを予防せよ!便秘の解消法!
1−1:薬も大事だけど、生活習慣をもう一度見直す
がんの中でも女性の死因第1位に挙げられる大腸がん。
男性でも第3位に挙げられます。
(参照:国立がん研究センター 最新がん統計 2020年7月6日現在)
高齢化と食生活の欧米化などにより年々罹患数が増えています。
そしてこれは私の経験ですが、数はまだ多くないものの、私が介護の仕事を始めた20年前と比べるとストマ(人工肛門)を付けた人が少し増えてきた印象です。
本来、便はスムーズに出なければならないものですから、体の中に留まっていると色々と健康に悪影響を与えます。
介護現場のみならず多くの人が悩んでいる便秘。
最近では「便秘を解消!腸活ダイエット!」などの広告をメディアで目にする機会も増えてきました。
結論から言うと、「便秘の解消がダイエットにつながる」ということは理にかなっています。
しかし問題は便秘の解消方法です。
介護現場では当たり前のように「酸化マグネシウム」「マグミット」「アローゼン」「センノシド」「プルゼニド」「ピコスルファートナトリウム」「ラキソベロン」「シンラック」・・・、といった薬が処方されています。
そして「レシカルボン座薬」や「GE(グリセリン浣腸)」もよく見かけます。
医療現場や介護現場では医師の判断による「治療目的」であったり「重篤な症状の回避」のために薬や浣腸がよく使われるのは仕方がないことだと思います。
しかし若い人でも安易に便秘薬に頼っていることがあるのではないでしょうか?
比較的安全な薬といえども、薬には副作用がありますし、だんだん薬が利きづらくなるデメリットもあります。
本来、便秘は食事や生活習慣の改善で解消が図れます。
「1に食事、2に運動!3、4がなくて5に生活リズム!」
これは便秘解消の基本原則です。
本来、便秘の解消を目指すには、薬を使うのではなく生活習慣から見直すべきです。(ただし、緊急性のある場合や器質性便秘を除く)
1−2:「器質性便秘」は治療の対象
ここで器質性便秘の説明をします。
器質性便秘とは、腫瘍や炎症、手術の後遺症などにより腸の機能が著しく低下していたり機能していないことによる便秘のことを言います。
このタイプの便秘に該当している場合は、早急に医療機関の受診が必要です。
マジで怖いのは「腸閉塞」。
別名「イレウス」とも言いますが、苦痛を伴う上、放置すると生命にも危険が及びます。
もし苦痛があるようなら、すぐに医療機関を受診しましょう。
苦痛がひどい場合はすぐに救急外来へ!!
腸閉塞(イレウス)はそれほど恐ろしいものです😰
今日のお話は、腸に大きな疾患や障害が無いことが前提となっています。
先にも述べたように器質的なものが原因である場合は治療の対象となるため、医師とも相談しながら、まずは食事や運動を見直すことから始めます。
高齢者、若い人を問わず便秘を解消して気持ちよく毎日生活していただけると嬉しいです😃
2:覚えておきたい4つの便秘のタイプについて
そもそも便秘にはタイプがあります。
まずはそれを理解するところから始めます。
2−1:医療機関のサポートが必要な便秘
①器質性便秘
先にも書いた通り、器質性便秘は胃腸や肛門などの疾患や、消化器の手術の後遺症が原因である便秘です。
「治療」や「経過観察」の対象となるので、医療機関を受診する必要があります。
便秘を解消しようと思ったらまずは医師に相談することをおすすめします。
もし便秘のタイプが器質性便秘だったら、いくら自宅で食事や運動によって便秘を解消しようと思っても医療的なサポートなしでは改善しにくいからです。
医療機関で「器質性便秘ではない」と診断されたら、次はその他の便秘タイプに該当するかどうかを考えます。
対策はどれも「食事、運動、睡眠など生活習慣の見直し」になりますが、まずは各便秘のタイプの特徴を理解することが大切です。
2−2:生活習慣の見直しで改善が見込まれる便秘
②弛緩性便秘
食事内容の問題や運動不足が原因で大腸の運動機能が低下して起こる便秘です。
「宿便(しゅくべん)」と言って、腸の中に便が溜まっていることが多いです。
高齢者だけでなく若い女性にも多くみられます。
③直腸性便秘
排便を我慢し過ぎたり浣腸をむやみに使うことで起こる便秘です。
本来は便が直腸まで降りてくると便意を催すのですが、我慢し過ぎたり浣腸を濫用していると直腸内に便が溜まっても便意を催しづらくなってくることがあります。
トイレになかなか行けない状況が続いたり、通勤などで排便を長時間我慢せざるを得ない人などに多く見られます。
高齢者の場合は寝たきりの方に多く見られます。
本来は座った姿勢で排便をするのが腹圧がかかり排便しやすいのですが、寝たきりだと腹圧が掛からず直腸性便秘になりやすくなります。
④痙攣(けいれん)性便秘
主にストレスが原因で自律神経が乱れることによって起こる便秘です。
大腸の蠕動(ぜんどう)運動がうまく機能せず、便秘になってしまいます。
ストレス社会で働く、働き盛りの方に多く見られる便秘のタイプです。
便の性状が安定せず、便秘と下痢を繰り返したりする人もいます。
3:腸の動きと確認方法
便秘のタイプについてザッと理解できたら、自分の腸の動きについて理解します。
そもそも便はお腹の中で、ひとりで勝手には動きません。
腸が動いて便を移動させています。
ですから「腸の動き」というのはとても大切です。
ちょっと聞き慣れない言葉かもしれませんが、腸の動きのことを蠕動(ぜんどう)運動と言います。
蠕動(ぜんどう)運動とは、腸が伸びたり縮んだりを繰り返しながら胃から送られてきた内容物を体外へ排出するまで移送する動きのことを言います。
ミミズが移動する運動も蠕動(ぜんどう)運動と呼ばれたりします。
「消化管の内容物を送るか、ミミズ自体が移動するか」という違いはありますが、どちらも蠕動(ぜんどう)運動です。
確認方法ですが、医療現場や介護の現場では医師や看護師などが聴診器をお腹に当てて、腸が動いているかどうかを確認します。
腸が動くときに出る「グー」とか「キュルキュル」という音を「グル音(おん)」と呼び、グル音の有無や強弱で腸が正常に動いているかどうかを判断しています。
ときどきお昼前になるとお腹が「グ〜」ってなる人がいますよね😓
これは腸が動いている証拠です。
職場のカンファレンス(病院や施設で行う患者さんの治療方針や援助方針を話し合う会議のこと)の際中に誰かのお腹がなると、「腸が動いててイイね😊」なんて言われたりします😅
若い女の子だととても恥ずかしそうにしますが、当然、腸は動かないより動いた方がいいんです✨
腸は動かなくても問題ですし、動きが弱くても問題です。
そして動きが過敏でも問題になります。
腸だけに「チョ〜ど」いい具合に動いてくれないといけない訳です。
3−1:腸が動かないと起こること
腸が動かないと便は移動しません。
これは大問題です。
苦痛が出てきたり、口から便の臭いがしてきたりします。
もし腸が全く動いていなかったら、腸閉塞のリスクがあります。
場合によっては生命の危機になることもあります。
そのため早めに主治医に報告したり、医療機関を受診したりして医師の指示を仰ぐことが必要になります。
そして「腸は動いているんだけど、動きが弱いんだよなぁ」ということもあります。
これも放っておくと厄介なので対応が必要になってきます。
3−2:腸の動きが弱いときに起こること
腸の動きが悪いと、便の移動がゆっくりになります。
ここから少し詳しく説明します。
そもそも食べたものが胃で消化されたあとの内容物はドロドロのほぼ液体です。
それが腸の中を移動している間に、腸が水分を吸収して粘土のような固体になっていきます。
もし腸の動きが悪いときは便が腸内にとどまる時間が長いため、どんどん腸が水分を吸収してしまいます。
その結果、便はカチコチの硬い便になってしまいます。
そうすると直腸や肛門付近で「道」を塞いでしまうことがあります。
道が塞がれると当然排便はできず、あとから出てくるはずの便も出る道を失ってしまい腸の中にとどまってしまいます。
すると負のスパイラル。
渋滞を起こした車のように次から次へと便が腸に溜まっていって「宿便」の状態になってしまいます。
これが酷くなると外科的な対応が必要になる場合もあります。
また人によってはウサギのようなコロコロの便が出る時もあります。
しかし、これも要注意!!
硬くなった便が出口を失ってしまった結果、腹圧を入れたときなどに腸壁に「憩室(けいしつ)」と呼ばれるポケットを作ってしまうことがあります。
そうするとそこに入ってしまった便はなかなか出てこず、出てきたときにはコロコロのウサギさんのような便になっているわけです。
ときには憩室に入り込んだ便が原因で「憩室炎(けいしつえん)」という炎症を引き起こすことがあります。
こうなるとこちらも当然、治療の対象となります。
3−3:腸の動きが過敏なときに起こること
逆に腸の動きが過敏だと、便の移動が早くなります。
腸の動きは、ゆっくりでも早めでもあまりよくありません。
「便の移動が早い」ということは、胃から送られてきた内容物が腸で水分を吸収される前に排出されてしまうことになります。
つまり「下痢」の状態です。
この場合は水分が吸収されていないので「脱水」のリスクが上がってきます。
よく「下痢の時は水分は控えないといけない」という話を聞きますが、実際は逆です。
下痢の時は「脱水」の傾向にあるので、水分は多めに摂らなければいけません。
もちろん塩分も必要です。
施設では「おかゆに梅干し」を提供するなどして脱水予防に努めています。
お年寄りには比較的好まれるメニューです。
下痢の時は脱水予防を意識しましょう。
たとえ下痢であっても便が出ないよりはマシなんです。
下痢を抑えようとして「便を出ないようにする」というのは色々とリスクが伴います。
例えばノロウィルス。
症状として嘔吐や「下痢」を伴いますが、もし「下痢止めの薬」で下痢を止めてしまったらどうなるでしょうか?
本来、体外に排出されるはずのウィルスがお腹の中にとどまりお腹の中でドンドン増殖してしまいます。
その結果、事態の悪化を招く恐れがあります。
排泄は本来自然なこと。
できれば薬などで自然な流れを変えることは避けたいところですし、仕方なく薬を使うとしても必要最低限にしたいところです。
4:危険な疾患につながる「いきみ過ぎ」に要注意!便性を健康的な値に保つことの重要性
4−1:いきみ過ぎは脳出血のリスクあり!
結論から言うと「いきみ過ぎ」は脳卒中を誘発するリスクが高いです!
私は介護の現場で、トイレに座っていて「いきんだ」瞬間に意識が無くなり、そのまま亡くなられたおばあちゃんを見たことがあります。
このおばあちゃんは、医師から死期を宣告されていた終末期のかたでした。
しかしトイレだけは本人の強い希望で、二人がかりでなんとか介護でトイレにお連れしていました。
そしてお通じで「いきんだ」瞬間、トイレから崩れ落ちるように体が前に傾いてきました。
ちょうど看護師がいたのでその場は看護師に任せて、おばあちゃんの居室からすぐに救急要請‼️
病院でも意識が戻ることなく、そのまま旅立たれました。
こういった時は施設に警察も来て調査をしたり、病院でも死因を調べますが結果は脳出血でした。
このケースはたまたま終末期の方で、ご本人も最後までトイレでの排泄することを強く望まれていたので、その後ご家族は「本人らしい最期で、最期までトイレで排泄できて、本人は幸せだったと思います」とおっしゃっていました。
でも事業者としては色々と考えることはあります。
そもそも、そんなに食事も召し上がっていなかったので、排便量も少なかったです。
でも本人は便が出ないことを気にして「いきんだ」のだと思います。
もちろんご本人には「インが少ないので、アウトも少ないのは当然ですよ」と説明していましたが、ご本人の中では違った思いがあったのだと思います。
4−2:便の性状を把握する。できれば医療・介護現場では7段階で評価する
病院や介護の現場では便の性状はとても大切な健康の指標です。
単に「水様便」「泥状便」「普通便」「硬便」などと表現することもありますし、ブリストルスケールといった表現方法で「1:コロコロ便」「2:硬い便」「3:やや硬い便」「4:普通便」「5:やや柔らかい便」「6:泥状便」「7:水様便」と数字で表現することもあります。
ブリストルスケールを用いる場合は、「3:やや硬い便」「4:普通便」「5:やや柔らかい便」は許容範囲内です。
しかし、その他の「1:コロコロ便」「2:硬い便」や「6:泥状便」「7:水様便」が続く場合は何らかの対策が必要となります。
できれば便性は7段階で評価し「腸の動きが悪い」、「食事内容が悪い」、「ストレスが原因」など様々な要因を一つずつ解決していく必要があります。
お年寄りのケアプラン(介護計画書)を作るときも、具体的にこの辺りを分析し、対策を折込んだプランを作っていきます。
4−3:硬い便にはオリーブオイルも一考に
あとで説明しますが、便が硬い場合は水溶性食物繊維を多く含む食べ物で解消を図るのが理想的です。
私が働いていた介護現場では医師と相談しながら水溶性食物繊維と併せてオリーブオイルも硬い便の便通を促進するために使っていました。
お味噌汁やスープに大さじ1杯のオリーブオイルを入れるだけ。
腸の蠕動(ぜんどう)運動を促したり、「潤滑油」として硬い便をスルッと出し易くする効果が期待できます。
ただし、オリーブオイルといっても「油」なので、カロリーのことを考えると摂り過ぎには注意が必要です。
5:悪玉菌より善玉菌を増やそう!オリゴ糖や発酵食品で日和見菌を味方につける
<注意事項>
こちらに記載することは薬を全く飲んでいない健康な人には問題ない内容となっていますが、薬を飲んでいる人の場合は薬の作用に影響を及ぼすものもあります。
特に一部の血液をサラサラにする薬に対して「納豆」や「ビタミンK群」は禁忌(きんき)になります。
その他にも、服用している薬によってはアレルギーを引き起こす可能性もありますので、腸内環境を食べ物で改善を図る場合でも、薬を服用している方は事前に医師への相談をお願いします。
5−1:便秘薬を使う前に腸内環境について理解する。善玉菌、悪玉菌はわかるけど「日和見菌」って何??
便性の把握ができたら、すぐに便秘薬を使いたいところかもしれませんが、それでは根本から便秘を解消できるわけではありません。
例えば、酸化マグネシウム(マグミット、マグラックス)などのお薬は便を柔らかくすることで知られています。
(参照:独立行政法人 医薬品医療機器総合機構の「患者向け医薬品ガイド」→「酸化マグネシウム」)
便に含まれる水分を増やすことで便が柔らかくなるのですが、あくまでも一時的なもので腸内環境が改善しているわけではありません。
本当に大切なことは腸内環境を良くしていくことです。
通常、腸の中には「善玉菌」「悪玉菌」「日和見菌(ひよりみきん)」というのがだいたい「2:1:7」の割合で存在しています。
腸内環境は善玉菌が多いほど良いとされています。
それでは「日和見菌」とはいったい何でしょうか?
日和見菌とは「腸内の善玉菌が優位のときは善玉菌に味方し、悪玉菌が優位な時は悪玉菌に味方するという性質を持つ菌」です。
7割の量がある日和見菌ですので、できれば善玉菌に味方してほしいものです。
しかし腸内環境が崩れて悪玉菌優位となると、日和見菌も一気に悪玉菌に味方するので日々の生活習慣で腸内環境を良く保つことは非常に大切です。
5−2:オリゴ糖で善玉菌を増やそう!そして日和見菌も味方に付ける!
器質性便秘は医療的な対応が必要です。
しかしそれ以外のタイプの便秘はすべて、腸内環境をよくすることで便秘の改善が見込まれます。
食物繊維を摂ってお腹を掃除する、善玉菌を増やして日和見菌を味方に付けるなどの対策がありますが、善玉菌を増やすにはどのようにすればいいのでしょうか?
善玉菌のエサはオリゴ糖です。
ですから「オリゴ糖を摂る」というのが便秘対策の一つとなります。
オリゴ糖はスーパーやドラッグストアでも買えますし、ネットでも購入できます。
料理に使うものからお菓子のタイプのオリゴ糖までありますので、好みや用途に合わせて摂取すると良いでしょう。
5−3:腸内の善玉菌を増やす発酵食品!毎日継続するコツはお味噌汁♪
発酵食品に含まれる乳酸菌は善玉菌を増やしてくれます。
「生きたまま腸に!」というキャッチコピーのヨーグルトのCMもありますが、実は生きたままでなくても乳酸菌は善玉菌のエサになることがわかっています。
そのため死んだ乳酸菌であっても腸内環境にはプラスになります。
ただし腸内環境に与える影響には個人差がありますので、色々と試してみるのが良いと思います。
乳酸菌を多く含む食材には以下のようなものがあります。
みそ、醤油、酢、納豆、ヨーグルト、チーズ、キムチ 、漬物などなど。
お酒ならビール、日本酒、ワイン、マッコリなど♪
中でも手軽に毎日作って食べられるのが「お味噌汁」✨
あとでお話しする水溶性食物繊維や不溶性食物繊維を多く含む食材をお味噌汁にして食べると一石二鳥、いや一石三鳥くらい体にいいです💕
にんじん、わかめ、なめこ、モロヘイヤ、ゴボウ、キャベツ、じゃかいも、さつまいも、インゲン豆などは手軽にお味噌汁に入れて食べられます。
味噌にはビタミンB1、ビタミンB2 、ビタミンB6、ビタミンB12、ナトリウム、カリウム、カルシウム、マグネシウム、鉄、亜鉛、葉酸、食物繊維などの栄養素が含まれており、超優秀な食材です‼️
今や日本のみならず海外からも注目されるスーパーフード!
できれば毎日1回はお味噌汁を飲むようにしたいところです。
6:役割の違う2種類の食物繊維をきちんと理解しよう!便を柔らかくする水溶性食物繊維と便の量を増やす不溶性食物繊維!
6−1:食物繊維でお腹をお掃除!食物繊維の種類によって働き方が違うので要注意!
食物繊維でお腹をお掃除すると、腸内環境が良くなり日和見菌が善玉菌に味方して善玉菌が増えます。
反対にお腹のお掃除がきっちりと出来ていないと悪玉菌が優位となり日和見菌も悪玉菌を味方してしまうことに悪循環になってしまいます。
ですから食物繊維について正しく理解して、お腹をきれいにしておく必要があります。
ひとことで食物繊維と言っても、「水溶性食物繊維」と「不溶性食物繊維」があり、その役割も異なります。
簡単に説明すると「水溶性食物繊維」は便を柔らかくする作用があり、不溶性食物繊維は便の量(かさ)を増やす作用があります。
まずはこの違いをきっちりと理解しておくことが大切です。
6−2:便を柔らかくする水溶性食物繊維を多く含む食材
便が硬くて困っている人も多いと思います。
便を柔らかくする薬の服用を否定するものではありませんが、もしできるなら食べ物で便を柔くしたほうがいいのは言うまでもなくありません。
そば、海藻類(わかめ、ひじき、もずくなど)、こんにゃく、エシャロット、モロヘイヤ、しらたき、春雨、抹茶、ココア、果物などが水溶性食物繊維を多く含む食べ物です。
介護現場では「ウィズワンエル」「ウィズワンα」「イージーファイバー」といったサプリメントを併用することも多いです。
個々人の体質や好みに合わせて色々と試してみても良いと思います。。
もしお医者さんから処方されている薬を飲んでいるなら、医師とも相談しながらお通じの改善に取り組んでいきましょう!
6−3:便の量(かさ)を増やす不溶性食物繊維を多く含む食材
そもそも便を形成するものを食べていなければ便は出ません。
水ばかり飲んでいても便は出ないわけです。
しかし便を形成する食べ物を摂っていても、その量が不足している場合もスッキリと便が出ないことがあります。
そういったときは不溶性食物繊維を多く含む食べ物を摂るようにしましょう。
不溶性食物繊維を多く含む食べ物には以下のようなものがあります。
穀類(米、大豆、とうもろこしなど)、おから、あんこ、枝豆、ほうれん草、ブロッコリー、キャベツ、レタス、木耳(キクラゲ)、エリンギ、アーモンドなど。
シンプルに穀物をしっかり摂ると便の量(かさ)が増やせます。
逆に言うと、不溶性食物繊維を摂らないと便の量(かさ)が少なくなるのは当たり前です。
6−4:水溶性食物繊維と不溶性食物繊維を両方含む最強食材とカンタン調理法!
水溶性食物繊維と不溶性食物繊維の両方を多く含む食材にはインゲン豆、納豆、じゃがいも、さつまいも、にんじん、ゴボウ、切り干し大根、干ししいたけ、アボカド、なめこ、ごま、栗などがあります。
前述したように、これらの食材を効率よく手軽に摂るにはお味噌汁の具材として使うと良いと思います。
お味噌汁なら栄養素が逃げることもありません。
納豆やアボカドはお味噌汁には使いづらいと思いますので、簡単に別メニューのアレンジをご紹介します。
<納豆キムチ>
納豆にキムチを乗せただけの簡単メニューです。
キムチも納豆も強力な発酵食品である上、納豆には食物繊維が豊富なので超おすすめメニューです。
ただし納豆はワーファリンなどの薬剤と相性が悪いので、薬を飲んでいる人は必ず医師の指示を仰いでください。
好みでネギやオクラなどを入れてどうぞ😊
<冷奴風アボカドチーズ>
こちらは「おつまみメニュー」です。
作り方はカンタンでアボカドとクリームチーズを並べてお醤油をかけるだけ。
お醤油のかけ過ぎとカロリーには要注意です!
もしカロリーが気になる方は、クリームチーズの代わりに本物の豆腐でもOK!!
風味を足したい方はかつお節をかけても美味しいですし、便が硬めの方はちょっとスプーン一杯ほどのオリーブオイルをかけても美味しく食べられます。
7:自律神経を整えて便秘解消をねらえ
7−1:副交感神経を高めることが腸内環境を改善することにつながる
生活リズムを整えて、自律神経をコントロールすることが便秘解消には重要です。
自律神経には交感神経と副交感神経があり、私は「交感神経は緊張モード」「副交感神経はリラックスモード」と覚えています。
本には「興奮モード」「リラックスモード」と紹介しているものもありますが、どちらでもOK!覚えやすい方を覚えると良いと思います。
大切なことは「便秘解消には副交感神経を高めことが有効」ということです。
腸の蠕動(ぜんどう)運動を活発にさせたり、腸内の善玉菌を増加させるには副交感神経を高めると良いということです。
「リラックスモードの時に腸内環境が整えられる」と理解しましょう。
7−2:一般的には深夜からお昼くらいまでは交感神経タイム。お昼から深夜くらいまでが副交感神経タイムなのだが、、
1日の中でも交感神経が優位になる時間と、副交感神経が優位になる時間が異なります。
概ね深夜0時とお昼の12時で交感神経と副交感神経の優位性が入れ替わると思って良いと思います
しかしこれには個人差があり、またその人の生活習慣によっても大きく左右されてしまいます。
朝方まで起きていたり、朝食を食べなかったりすることが続く生活は自律神経が乱れてしまいやすいです。
いつも緊張を強いられている生活を送っている方は交感神経が優位となる時間が長く、副交感神経が優位となる時間が短くなる傾向があります。
これは「ストレス」とも呼べます。
寝る時間にはきちんと睡眠をとり、起きる時間にはしっかりと起きることが大切です。
7−3:朝の時間を大切にする。それは体内時計のリセットのため
人間には「体内時計」が備わっていることは誰しも知っているところと思いますが、体内時計は24時間で1周しているわけでないことに注意が必要です。
体内時計の周期は24時間より少し長いので、私たちの社会生活に合わせてリセットしてあげる必要があります。
そのために必要なこととは、「朝日を浴びたり、朝食をきちんと食べること」です。
交感神経や副交感神経も体内時計に合わせて機能していくので、この「リセット」はとても大切です。
8:最後に。ケアプランに書き切れない詳細な内容は「介護手順書」などに記載する
最後に、お年寄りは若い人に比べると運動量も少なく、複数の薬を服用していることが一般的です。
そのため、それらの薬の副作用で便秘になっている可能性もあるかもしれません。
事実、薬の副作用を確認すると「便秘」が出てくることが多々あります。
また「若い頃から便秘薬を飲み続けている。それを飲まないと出ない」と言われる方もいらっしゃいます。
ケアマネジャーはそのことも踏まえて、ケアプランを作る必要があります。
しかし基本はこれまで述べてきたところになりますので、あくまでも基本を中心にしながら 医師と相談しつつ薬もうまく使っていくと「より良いケアプラン」になると思います。
ケアプランの中の「居宅サービス計画書(1)(2)」などに書けない便秘解消に向けた詳しい内容は各事業者が使用している「介護手順書」のような書式に書いてもOKだと思います。
各事業所の所長さんや上長の方に相談してください。
今回のお話はお年寄りの便秘解消だけでなく若い人にも応用が聞くところだと思います。
いつでも何度でも見返していただき、スッキリと毎日過ごしていただけると嬉しいです。