【認知症】気安く「認知症」と呼んじゃダメ!人権侵害の恐れあり!

人権侵害

ももたん
ももたん

おばあちゃん、認知症になっちゃったのかなぁ?

ひろさん
ひろさん

残念ながら認知症は確定診断なしに周囲の人に「認知症」と決め付けられることがあります。それだけは避けなければいけません。

1:【認知症】気安く「認知症」と呼んじゃダメ!人権侵害の恐れあり!

人権を失うイメージ

人権侵害は主に家族と介護者によってもたらされます。

「あれ?最近、うちのお父さん(お母さん)少しボケてきたかな?」

最初はそんな感じだと思います。

私は「ボケる」という言葉は好きではなく、別の言葉を使うようにしています。

本人が「ボケた?」なんて聞いたらイヤですよね😰

でも家族は距離が近いせいか、平気で「最近ボケてきたよね」と言ったりします。

認知症は記憶障害を伴う症状のこと。

「記憶が遠くなる」「忘れっぽくなる」など記憶に関しての表現を使います。

どちらにしても本人が受ける精神的ストレスはありますが、「ボケる」よりはマシと思っています。

そんな認知症ですが、意外と安易に「認知症」と診断されたりします。

ひどい場合だと医師からではなく、家族や周りの人から勝手に「認知症」というレッテルを貼られてしまうことがあります。

あくまでも記憶障害を伴う症状なので、本来はきっちりと診断を受ける必要がありますが、残念ながら問診だけで認知症と言われてしまうこともあります。

認知症と診断されることは、場合によっては無意識のうちにその人の人権が侵害される恐れがあります。

「契約の締結、更新、解約」。

本来自分で行うべきはずのこれらのことが、代理人(主に家族)によって行われるようになります。

本当に認知症なら、その人の財産を守るため「成年後見制度」も利用できます。

でも実は認知症でなかったら?

一般的に「治らない」と思われている認知症だけに、一度「認知症」のレッテルが貼られてしまうと人権にも大きな問題を来すのです。

正直言うと「認知症かな?」と思ったら、その直感は当たっていることが多いです。

多くの場合は「アルツハイマー型認知症」や「レビー小体型認知症」「脳血管性認知症」であると思います。

まれに「前頭側頭型認知症」の場合もあります。

しかし、中には治る疾患が原因である場合もあるため、安易に「認知症」と呼ぶのは危険です。

2:認知症の臨床診断(確定診断)はしましたか?4つの型の認知症

認知症の種類

一番マズイのは病院に行かず、家族や周りの人が勝手に「認知症」と決めつけてしまうことです。

次にマズイのは、近所のクリニックなどには行ったけど、医師が家族からの話を聞いただけで「認知症ですね」と言ってしまうことです。

残念ながら少なからずこういうケースはあります。

医学は根拠があってのものですからね。

検査もせずに問診だけで「認知症」と言われてしまった場合は、セカンドオピニオンを取ることをオススメします。

でも、実際はご本人の精神的なストレスを考えると最初の1回できっちりと診断してくれるところに行くのがいいですよね。

なぜ認知症に対して臨床診断が必要なのか、その理由を説明します。

臨床診断とは「問診」「採血」「画像診断」「スクリーニングテスト」などを行い、認知症の診断を行うことです。

「スクリーニングテスト」とは簡単に言うとテストです。

「○○、△△、□□の三つのものを覚えておいてください。(記号は全て名詞です)

次に100から7を引いください。

次にその数からさらに7を引いてください。

次に思いつく限り、野菜の名前を挙げてください。

それでは、先ほど覚えていただいた3つのものをお答えください」みたいなテストです。

実はひとことで「認知症」と言っても、その種類は大きく分けて4タイプあります。

・アルツハイマー型認知症

・レビー小体型認知症

・脳血管性認知症

・前頭側頭型認知症

そして、これらの型が混在している混合型もあります。

それぞれに治療法や対応が異なるので、「どの型の認知症なのか?」といったことも医療機関で診てもらう必要があります。

3:そもそも本当に認知症?薬の影響と認知症によくに似た症状がある疾患

dementiaと書かれた写真

「お父さん(お母さん)が急におかしくなっちゃった😰」

そのような相談をいただくことも非常に多いです。

そういう時、医師や看護師、ケアマネジャーは「薬」から疑います。

「最近開始された薬」「最近変更になった薬」「最近終了になった薬」

「なぜ薬から疑うか?」と言うと、薬が人体に与える影響が大きいからです。

実際に「薬を見直したら症状が落ち着いた」ということもよくあります。

余談ですが「急に」というのは薬の影響か、脳出血など頭の中で何らかのアクシデントが発生している可能性が高いです。

アルツハイマー型認知症やレビー小体型認知症、前頭側頭型認知症は「急に」進行することはありません。

話をもとに戻すと、薬の「開始」「変更」「中止」の時は、観察のポイントとなります。

特に入院時などは「せん妄」といって、寝ぼけたような状態になることがあります。(というか、多いです)

また認知症のような症状を表す疾患として正常圧水頭症、甲状腺機能低下症、ビタミン欠乏症、硬膜下血腫などもあります。

特に硬膜下血腫などは早急に治療が必要な場合もありますので、「認知症かな?」と思ったら軽く考えずに早めに医療機関に受診に行くようにしてください。

検査の結果、これらの疾患の可能性を除外することを「除外診断」といいます。

私はこの除外診断を受けることは認知症と向き合う第一歩と言えると思います。

なぜなら、もし上記の疾患だったら治る可能性があるから。

認知症は今現在治せません。

認知症だと思っていたら、ただの「せん妄」や「薬の影響」だったということは数知れずあります。

もし治る可能性があるケースだったのに、きっちりと診断をしなかったために周りから死ぬまで「認知症」と思われるのって誰でもイヤですよね😭

「治せる可能性のあるものか?それとも本当に認知症なのか?」

これを病院で調べてもらうことは極めて重要なことなのです。

その人のことを「認知症の人」と呼ぶのはきちんと検査をしたあとの話です。

4:よく調べてみたら薬の影響や耳垢(みみあか)が原因だったことも!

耳垢の検査のイメージ

これは笑い話レベルですが、会話が噛み合わなくなってきたおじいちゃんがいて、耳を確認したら耳垢(じこう、みみあか)がかなり溜まっている方がいました。

近くの耳鼻科に受診して、耳垢を取ってもらったら普通に会話ができるようになったこともあります。

この場合は耳垢といっても、長年蓄積されたもので家で取れるようなものではなく耳の穴をびっしりと塞いでしまっていました。

何回か分けて通院し、処方してもらった点耳薬(てんじやく)を使いながら耳垢をふやかして耳鼻科で取ってもらいました。

今回は耳垢が原因でしたが、「難聴」も認知症と間違われやすい症状を表すので注意が必要です。

5:人権侵害の恐しさ

人権のイメージ

「認知症」になると周囲(主に家族や介護者)から「自己決定権」を奪われることが多くなる傾向があります。

外出の制限、金銭管理権の委譲、グループホームなどへの住まいの変更など。

「自分で決める」というよりは周りの判断で決まることが多いです。

自分の生活を他人(家族を含む)が決めてしまう側面があるのです。

健康な人であれば、「人権侵害」と言われるところです。

本当に認知症であれば、致し方ないと思うこともあります。

しかし、そうでない原因で今の症状が起きているとしたら、、。

そうならないために(人権を守るために)きっちりとした過程を経て認知症と向き合う必要があるのです。