【COVID-19】『新型コロナウィルスの真実』岩田健太郎神戸大学大学院教授の著書の紹介

ももたんと岩田先生の著書

1:正しく理解する

正しく理解するのイメージ

新型コロナウィルスの影響で仕事が休みになりました😭

でもこういう時は本を読んだり勉強したりすることができるので、悲観的にならずに前向きにポレポレと生きていこうと思います。

全世界で「ステイ・ホーム」が叫ばれていますね。

私も人類の端くれとして、自分のために、他の人のために引き続き「自粛」していこうと思います。

さて、今日は『新型コロナウィルスの真実』(著:岩田健太郎)のご紹介です。

正直、この本は今の時代に限らず、今後もとても役に立つ内容ですので一人でも多くの人に読んでほしい本です。

私のような素人にもよくわかる語り口で書かれていて、とても読みやすいです。

その上、感染症専門医の立場から一つ一つ丁寧に書かれています。

もう一つこの本の良い点はサラッと読めることです。

著者の岩田先生が新型コロナウィルスが蔓延する「ダイヤモンド・プリンセス号」に乗船した時のことも詳細に書いておられ、ところどころその時の緊迫感が伝わってきます。

あの時、何が起こっていたか気になる人も多いのでは?

その時の状況も岩田先生の目線で丁寧に書かれています。

新型コロナウィルスに対する理解も深まります。

相手が見えないだけに、正しく理解することが大切です。

2:そもそもコロナウィルスとは?

COVID-19の文字とマーク

2−1:コロナウィルスも含めてウィルスとは?

繰り返しになりますが、岩田先生は素人の私にも理解できるよう簡単に説明してくださっていました。

そのため医学的に細かな論点では別の解釈があるかもしれません。

一般人の私には十分な内容でした。

コロナウィルスの説明の前に、そもそもウィルスとはなんでしょうか?

「他の生物の細胞に入らないと生きていけない微生物」

そして菌とウィルスの違いについて、「菌には抗生物質が効く」の対して「ウィルスには抗生物質が効かない」という特徴があるそうです。

2−2:コロナウィルスとは?

「コロナ」とは「光冠」と訳されます。

皆既日食の時に太陽の周りに真珠色に輝く光の冠。

つまり、コロナウィルスとは「ウィルスの周りに冠状のギザギザがついたウィルス」だそうです。

風邪の原因となるウィルスで、くしゃみ、鼻水、鼻詰まり、微熱などの症状を引き起こします。

ウィルスなので抗生物質は効きません。

なので薬では「くしゃみを止める。鼻水を止める。咳を止める」などの対処療法しかできない。

風邪そのものは自然に治るのを待つしかないそうです。

風邪の原因には、他にもライノウィルスなどがあります。

2−3:コロナウィルスの種類はいくつある?

従来知られていたコロナウィルスは4種類🦠。

その後、2002年に「SARS(サーズ)コロナウィルス」が中国で見つかり、2012年には「MERS(マーズ)コロナウィルス」が中東で見つかり6種類になります。

そして7番目の新型コロナウィルスの発見。

今回の新型コロナウィルスですが、名前は2020年3月現在まだありません。

「SARS-CoV-2」(「SARSのようなウィルスコロナウィルス」という意味らしい)という名前がウィルス学者の間では使われているそうです。

でも一般的には「新型コロナウィルス」で意味が通じます。

そして「新型コロナウィルス」によって引き起こされる病名が「COVID-19」となります。

「COVID-19」ってウィルスの名前ではなく、病名だったんですね💦

ちなみにCOVID-19は「2019年に発生したCoronavirus disease」のことで、「disease」が入っていることが分かれば病名ということも理解しやすいです。

2−4:そしてパンデミック。パンデミックってどういう意味?

2020年3月12日にWHO(世界保健機関)がパンデミックを宣言しましたね。

「パンデミック」とは「世界中で感染症が流行している状態」。

そしてもう一つ。

「パンデミック」には「押さえ込めない」という意味もあるそうです。

確かに今回の新型コロナウィルスは、押さえ込むのが難しいウィルスですよね。

2−5:8割の患者は勝手に治るけど、2割の患者が勝手には治らない

風邪のような初期症状なので、軽く見てしまいがちのCOVID-19。

場合によっては罹患していることに気付きさえしない。

実はこれが危険!

確かに8割の患者さんは勝手に治るそうですが、残りの2割の患者さんは勝手には治らない。

ワクチンもない!

そして感染力も強い!

2−6:1人の感染者から何人に感染する!?

ここのお話は本書に詳細がなかったので、『呼吸器内科医が解説!新型コロナウィルス感染症 COVID-19』(医学科学社)からデータを拝借します。

2020年2月現在、新型コロナウィルスの「感染基本再生産数」は3.28。

感染基本再生産数とは「1人の感染者から周囲に何人するかの指数」です。

新型コロナウィルスの場合は感染者1人から3人に感染することになります。

ちなみに季節性インフルエンザの感染基本再生産数は1.28。

SARSウィルスは0.91、MERSウィルスは0.95です。

2−7:スーパースプレッダーの発生を防ごう!

感染基本再生産数が3.28の新型コロナウィルスですが、中には「スーパースプレッダー」と呼ばれる患者さんが存在します。

その名の通り、1人の感染者から感染基本再生産数を大きく超えて感染者を増やしてしまう人のことを言いますが、1人から180人に感染を起こした例も報告されています😰

感染拡大と早期の収束のためにも、スーパースプレッダーの発生をできる限り防ぐことが求められます。

もちろんスーパースプレッダーの患者さんは、他の人に感染させようとは思っていないのですがウィルスは容赦ないですね😢

ちなみに『呼吸器内科医が解説!新型コロナウィルス感染症 COVID-19』(医学科学社)は専門用語が多用されており、一般向けではありません。

データや参考文献が多いので、Dr.向けの本だと思います。

3:新型コロナウィルスの検査方法

PCR検査のイメージ

3−1:PCR検査では陰性の証明はできない。PCR検査の説明

こういうところが私みたいな素人は誤解してしまうんだと思いますが、私は「PCRの判定結果が陰性なら、陰性」と思っていました。

テレビなどでよく言われている「PCR検査」ですが、陽性の証明はできても陰性の証明はできないそうです。

なぜならPCR検査の感度は7割程度なので、3割程度の新型コロナウィルスに感染している人を見逃してしまうからです。

岩田先生がPCRについて簡単に解説してくださっていますので、本書からそのまま引用します。

「PCRとはPolymerase Chain Reaction(ポリメラーゼ連鎖反応)の頭文字で、特定の遺伝子を捕まえて増幅させる技術です。

〜中略〜

PCRによる検査では、この新型コロナウィルスに特徴的な遺伝子の配列を探してきて、対にになっている遺伝子を分離させ、ポリメラーゼという酵素の働きを利用して遺伝子を増幅させます。

こうやってウィルスの遺伝子を増やし、見える形にしてあげて写真を撮り、ウィルスがいるかいないか判断する、というのがPCRの原理です。」

そもそも検査時に喉をこすってサンプリングするこのPCR検査には以下のような問題点が挙げられます。

一つは「遺伝子が拾えなかったら見つからない」ということ。

そしてもう一つは「拾えた遺伝子の量が少ないと見つからない」ということ。

喉をこすってサンプリングするので、ウィルスが肺の中に入ってしまっていると検出できないそうです。

逆を言えば、PCRで「陽性」が出ればウィルスがいることの証明ができます。

しかし繰り返しになりますが、3割程度の取りこぼしがあるために陰性の証明にはならないということです。

3−2:迅速キットを使っての検査と問題点

迅速キットを使っての検査は主にインフルエンザなどに用いられる検査です。

迅速キットでは遺伝子ではなくウィルスの表面についている酵素などを使って検査します。

ウィルスをサンプリングして試薬をつけると反応して色が変わることを利用します。

この検査も完璧ではなく、インフルエンザの迅速キットの場合、その感度は6割程度だそうです。

また人の抗体を利用した迅速キットもあります。

これは感染した時に人の体の中でできる「免疫グロブリン」の有無を調べる検査です。

しかし、人の体は感染してから免疫グロブリンを作るまでに1週間程度かかるため、感染してすぐの時は検出できません。

そして迅速キットを使った検査の問題点として、「他のコロナウィルスとの区別が十分に検証されていない」といった点が挙げられます。

新型コロナウィルスと他のコロナウィルスはタンパクが似ているので、区別が難しく注意が必要なところだそうです。

3−3:CT検査の問題点

CTを使った画像診断ですが、新型コロナウィルスの肺炎と、他のウィルスの肺炎が全く同じように見えることがよくあるそうです。

またCTを使った検査の場合、装置に寝て検査しいろいろな計器を使用するので二次感染を引き起こしやすいというリスクがあります。

もちろん病院では消毒など都度行うようにしていますが、病院の中での二次感染のリスクは最小限に留めたい。

そのため疑いがあるからといって、感染拡大の状況下では何でもかんでもCT検査することは現実的ではないということになります。

3−4:結論。検査には限界がある

以上見てきたように、どの検査にも限界があることがわかります。

私は「検査して陰性だったら、陰性確定」と思っていましたが、そうではないんですね。

そうなってくると、より注意深く対応することが必要ですね。

その鍵となるのは「症状で判断する」ことだそうです。

4:医療従事者を失わない!。わたしたち一人一人が症状を見て正しく判断し、行動する

stayhomeの文字

検査での診断に限界がある以上、私たちは一人一人が症状を見て判断し行動する必要があります。

鼻水が出ている。

喉が痛い。

もしかしたら新型コロナウィルスに罹っているかもしれないけど、従来のウィルスによる風邪かもしれない。

それでも家で寝ていることができるなら、そのように「判断」する。

病院側は、もし血中酸素飽和度が80%台だったら「普通の肺炎かもしれないし、新型コロナウィルスかもしれない」との「判断」で感染対策をしながら対応する。

今、本当に大切なことは「感染者を増やさないこと」です。

「医療崩壊」という言葉がささやかれていますが、医療資源には人的にも物的にも限りがあります。

今のような危機管理下ではその資源を有効活用することが求められています。

そして医療現場には「余裕」が必要となります。

医療従事者を失わないこと。

危機下において医療従事者を失うことがないよう、これ以上の感染者の増加を抑えないといけないのです。

そのためには一人一人が「正しく判断」し、今の危機を乗り越えなければなりません。

5:新型コロナウィルスの感染予防について。「予防に勝る治療なし」

誰かが「予防に勝る治療なし」と言っていました。

この章では一人一人が「正しく判断」するために必要な知識と防衛策をご紹介します。

5−1:新型コロナウィルスの感染経路を理解する

まず大前提として「ウィルスは自然発生しない」ことを理解します。

そこらへんの空気中に自然発生しないため、人から人へ感染するには「感染経路」というものがあります。

まずはこの感染経路の理解が大切です。

突然ですが、ここで問題です!

問題:新型コロナウィルスの感染経路を2つあげてください。

・・・・・・

・・・・・・

さて、いかがでしたか?

答えが分かりましたか?

答えをお教えする前に、簡単に感染経路についてお話しします。

ここは私が働いていた施設でも頻回に研修を行なっていたところです。


①飛沫(ひまつ)感染

咳やくしゃみによって飛ばされた唾液などによって感染するもの。

岩田先生は「水しぶき」と表現されています。

「くしゃみとか咳とかに乗じて、口や鼻の中の水分が水しぶきになって拡がる現象のことで、飛距離は大体2メートルぐらいです。2メートルぐらい飛んでいくと、あとは重力に従って落ちてしまいます。この飛沫の中にウィルスがいて、吸い込んだ人に感染するわけです。」(本書より引用)


②接触感染

落ちた飛沫に触れることで感染することです。

ここも大切なところなので本書より引用します。

「飛沫が落ちた後、そこに含まれるウィルスはテーブル、電話、パソコンのキーボードみたいな人が触れるところにくっつき、消毒をしないと数日間(異論はありますが、最大で1週間から9日間くらい)生き延びます。その場所を手で触れると手にウィルスがくっつきますね。そしてウィルスの付いた手で目をこすったり、鼻を触ったり、ものを食べたりしてしまうと、ウィルスに感染してしまいます。

〜中略〜

飛沫は人間からしか出てこない。床とか物からヒューヒューとウィルスが飛んでいくことはない。ここをちゃんとイメージできると、ウィルスにどう対処すればいいか正しく判断ができるようになります。」


以上、飛沫感染と接触感染について書きましたが、この2つが新型コロナウィルスの感染経路です。

よって上記の問題の答えは「飛沫感染」と「接触感染」となります。

そして、岩田先生は「空気感染」についても説明しています。

「飛沫感染」と「空気感染」は間違えやすいところだと思います。

空気感染についても本書を引用して書きます。

「それから「空気感染」という言葉をよく聞きますけれど、今回のウィルスではこれもほぼ起きないだろうといわれています。

空気感染とはどういう現象か説明しましょう。

とても小さな飛沫、水しぶきは重力で落ちて来なくなります。これを飛沫核と言いますが、そうすると5メートルでも10メートルでも飛んでいってしまうので、こうなると感染経路もへったくれもなくなりますから、ヤバイですね。

空気感染する病気の代表格が麻疹(ましん、はしか)で、麻疹のウィルスは何十メートル何百メートルの飛距離を飛んでいきます。だから麻疹はブロックが難しい、ほぼブロック不可能といっていいでしょう。」

まずは感染経路を正しく理解することが大切です。

5−2:感染経路をブロックする

手洗いの写真

①手洗いや手指消毒をする

感染経路の理解ができたら、次は感染経路を遮断することが大切です。

飛沫感染と接触感染が感染経路なので、空気感染に比べると遮断が比較的容易です。

とはいえウィルスは目には見えないのでどこに付着しているか分かりません。

街中では誰が触ったかわからない場所はたくさんあります。

レストランのテーブルや椅子などはお店の人が拭いてくれているとは思いますが、100%ではないかもしれません。

エレベーターのボタンやエスカレーターの手すりなども多くの人が触れるところです。

他にはドアノブ。

人の手が触れるところはたくさんあります。

いちいち全て消毒することは不可能ですから、大切なことは「手を洗う」ということになります。

そしてコロナウィルスにはアルコール消毒や熱湯消毒が有効です。

ここでも本書を引用します。

「つまり、ウィルスがどこにいるかわからないのなら、どこにでもウィルスがいる前提で考えるほうに発想を変えるんです。どこかを触ったらアルコールで手指消毒をする。アルコールで消毒すれば、コロナウィルスはすぐに死にます。

〜中略〜

その場合、感染者が脱いだ服にはウィルスが付いている可能性がありますが、ウィルスは熱湯で死にますので、熱湯に浸けて5分くらい置きましょう。その後は普通に洗濯機で洗濯しても大丈夫です。

②密閉、密集、密接を避ける

よくクラスター感染についてテレビなどで報道されていますが、クラスター感染は狭く閉鎖された環境で起こりやすいです。

新型コロナウィルスの感染リスクを減らすために、密閉、密集、密接を避けるよう一人一人が考えて行動しなくてはいけません。

「どこでクラスターが発生したか、自分がそのクラスターに関わっていないかを把握することもとても大切です。」(本書より引用)

③換気をする

新型コロナウィルスに限らず、感染症予防の基本は換気です。

ナイチンゲールは、その著書『看護覚え書』の中で、換気の重要性を書いています。

できれば1日3回以上、新鮮な空気を部屋に取り入れて感染症を予防しましょう!

④風邪の症状が出たらとにかく家にいること(症状が軽い場合)

新型コロナウィルスかどうかわからない時は、症状に応じて判断します。

自分で判断できない場合は、電話で医師に相談することも可能です。

どこに電話していいかわからない方は、厚生労働省のホームページから相談窓口の案内を確認することができます。

また近くの病院の「新型コロナコールセンター」などに電話するのも一つの手です。

またお近くの保健所にも相談窓口があります。

⑤しんどくて病院に行く時は電話してから行く

いきなり病院に「新型コロナになったかも?」と行ったら、病院も混乱します。

病院に行く前には一度病院に電話してから行くようにしてください。

電話せずにいきなり受診すると、最悪の場合、診てもらえないこともあり得ます。

⑥病院に行く時はマスクをして行く

マスクは飛沫を防ぐ手立てとして有効です。

「咳エチケット」という言葉もあります。

マスクがない場合はハンカチなどを持参し、咳をするときは口を塞ぐようにすることが大切です。

これは新型コロナウィルスに限ったことではありません。

⑦免疫力を下げない

あとは、休養、睡眠、適度な運動、栄養バランスの取れた食事などで免疫力を維持するように心がけましょう。

本当は医療従事者こそ、免疫力のメンテナンスが必要なのですが、、。

とにもかくにも、非常事態の時こそ体にも心にも余裕を持って行動することが大切です。


厚生労働省新型コロナウィルス感染予防ロゴ
厚生労働省 新型コロナウィルス感染予防に関するロゴ

6:正しく情報を得る

informationの文字

テレビ、インターネット、書籍、うわさ話と色々な情報源があります。

こういう時は正しい情報を取得するように心がけましょう。

今回は岩田先生の著書をなるべく意図を変えずにお伝えしたつもりですが、それでも本書を読んでいただく方がより正確な感染症に対する情報が得られます。

本書でも書かれていますが、まずは厚生労働省のホームページから情報を得てください。

そこから地方自治体や保健所、地域の病院の情報を得るようにしてください。

友人や家族から得られる情報は、間違っていなくても正確な情報とはいえないことが多いです。

デマや噂話に振り回されることなく正しい情報を得るように努めることが必要です。

テレビから得られる情報は、どこまで正確なのでしょうか?

TwitterやYou Tubeはどうでしょうか?

一人一人の判断が大切です。