施設で働く看護師さんにはどんな人がいるの?
施設のケアマネジャーとして働いていると看護師さんとの連携はとても大切なんだ。
今日はその中でも特にお世話になった看護師さんを3人紹介します。そして個人的に感じる施設の看護師に重要なこともお話しします。
もくじ🔖
1:【看護師の転職】介護施設での看護師の仕事と役割。尊敬する同僚の看護師さんたち
仕事がら、たくさんの施設に転勤を命じられ、10施設以上で勤務をしてきました。
あらかじめお断りですが、この勤務の中には兼任や応援も含みます。
そうした中で私は今までたくさんの看護師さんたちと関わってきましたが、「施設には施設に合った看護師さんがいる」ということが経験からわかってきました。
私は病院で働いたことがないので、病院での看護師さんとの比較はできませんが、施設で働く看護師さんには何度も助けられ本当に尊敬に値する人がたくさんいらっしゃいます。
今日はその中でも個人情報を伏せた上で3名の看護師をご紹介します。
もし「施設で働きたい」「施設への転職を考えている」という看護師さんがいらっしゃれば参考になると嬉しいです。
2:さすがプロ!いろんな個性を持つナースたち(あくまでも個人的な主観ですw)
2−1:看取りの立ち合いが叶わなかったご家族の心を救った看護師
介護施設では、医師から終末期と宣言されている場合でもお年寄りの亡くなる瞬間に立ち会えるご家族はそう多くはいません。
詳しくは別の「ターミナルケアでも大切な人が息を引き取る瞬間に立ち会うのは難しい。だから、、」という記事で書きましたが、私の経験だとせいぜい10%の人しか身内の「旅立つ瞬間」に立ち会えないと思います。
ある施設で勤務していた時、ターミナルケアに移行していた老衰のおじいちゃんがいました。
ターミナルケアとは「終末期のケア」のことです。
そんなおじいちゃんが、ある朝、下顎呼吸が始まっていよいよ旅立ちの時が近づいていました。
看護師1名をそのおじいちゃんに配置して、ご家族にはすぐに施設に来ていただくよう連絡しました。
ご家族は「すぐに行きます!」とのこと。
しかしターミナルケアを経験したことがある看護師や介護士の人なら分かっていただけると思いますが、下顎呼吸が始まると30分前後で旅立たれることもあります。
その時にご家族が駆けつけた時、おじいちゃんの呼吸が止まって3分ほど経過した時でした。
主治医に「○○さんの呼吸が止まりました」と連絡をし終えたあと。
ご家族は「間に合わなかったか、、」と肩を落とされましたが、そこで呼吸が止まる瞬間を見届けた看護師がひとこと。
「全然セーフ、セーフです!まだお身体は暖かいですし!」
ご家族が表情がホッとした表情に変わり、亡くなられたおじいちゃんを抱きしめてられました。
「ありがとうございます」
悲しい状況でしたけど、そこに流れる空気はとても温かく感じられ、ご家族もそのようにおっしゃっていました。
医師はそれから30分ほどして到着し、死亡確認。
そんなケースでした。
施設だから、病院だから、という区別なく、こういう看護師さんの家族の立場に立った機転には心が救われる事がよくあります。
2−2:まだ死ぬ時じゃない!懸命の蘇生術を行った、いつもは泣き虫な看護師
いつも朗らか(ほがらか)で可愛い感じのおばあちゃん。
自分の足で歩かれていて、糖尿病はあったものの特にADLに問題はない入居者さんでした。
ADLとは「Activities of Daily Living」の略で「日常生活動作」と訳されます。
具体的には「移動」「排泄」「食事」「入浴」「着替え」「整容」の動作のことを言います。
そんなおばあちゃんがある朝、食事中に「ちょっと気分が悪い」とのことで食事を中断してお部屋に看護師が付き添って帰った時のこと。
担当したのは涙もろくて、入居者さんにすぐに感情移入するベテラン看護師さん。
帰ったはずの居室からナースコールが鳴ったので私が駆けつけたら、ちょうど他の看護師も駆けつけていて2人がかりで蘇生術をまさに始めようとしているところでした。
見るとそこには意識なく倒れているおばあちゃんの姿が!
呼吸はすでに止まっており、詳しい原因は分からないけど迷わずその場から「心肺停止!」と救急要請!
看護師に簡単に状況を確認すると、居室に戻ってベッドに腰を下ろして会話をしながら血圧や体温を測ろうとしていた時、「うっ」と急に全身の力が抜け前傾に倒れてきたとのこと。
このおばあちゃんは、娘様たちもよく面会に来られていて、とても大切にされていたおばあちゃんでした。
そんな娘様たちのお顔が看護師たちの脳裏にも浮かんでいたのだと思います。
「○○さん!まだ死ぬ時じゃないです!」看護師たちは必死に蘇生術を行い、同時に私は救急要請をしたあとその場から長女様に電話連絡!
救急搬送することを伝え蘇生を試みていることを伝えました。
長女様は動揺されながらも「お願いします!」と言われ、「次女にも連絡してあげてください!」とおっしゃっていました。
電話を切ったあと、次女様にも連絡。
救急隊からの折り返しの電話は現場のもう1人の看護師に出てもらい状況の報告。
次女様は長女様以上に動揺して言葉になっていませんでしたが、「とにかくお願いします!」と涙ながらに訴えられていました。
程なくして救急隊が到着。
救急隊「ご家族のDNRの表明はありませんか!?」
看護師と私「ありません!!」
救急隊「(蘇生術の継続を)やっちゃっていいですね?」
看護師「ご家族も蘇生を望んでいます!お願いします!!」
あとは救急隊に引き継ぎ、私が情報一式を持って救急車に同乗して病院に向かいました。
ちなみにDNRとは、老衰や末期がんなどの終末期医療において、あらかじめ本人(もしくは家族、あるいは本人と家族の両方)から延命をしない旨を書面に書いて、万一の場合でも心肺蘇生法を拒否することを表明した「終末期医療に関する同意書」などのことを言います。
結果は病院のER(救急救命室)のおかげでご家族が到着するまで辛うじて心臓は動かすことはできましたが、ご家族の到着後まもなくして「心筋梗塞」とのことで病院で亡くなられました。
病院から施設に連絡して、そのベテラン看護師に結果を報告したらいつものように泣いていました。
こういう状況で人が亡くなられると、あとから警察が施設に入る事が多いのですが、その時にも状況を詳細に説明してくれました。
当然、私も聞き取りを受けましたけど。
結果はとても残念なものとなりましたが「チームとしては最高のチームだなぁ」と思えましたし、娘様たちからも大変感謝されました。
普段は泣き虫でも、やる時はやる!
私たちの仕事とはこういうものかもしれません。
2−3:キャリアは少ないが記録を書く時はいつも家族目線。他のスタッフからも高評価の看護師
施設には看護師だけでなく、介護士もたくさん働いています。
ご家族もよく面会にいらっしゃいます。
もともと看護師は介護スタッフに比べると記録がとても詳細で分かりやすい印象なのですが、この記録の書き方が特に素晴らしい看護師さんがいらっしゃいました。
専門用語はなるべく使わず、ご家族や新人の介護スタッフが見てもよくわかるように書いてくれます。
記録を書く時間も結構かかりますので、なかなかそこまでの記録を書くことは難しいのですが、あとから読んでもケアされているお年寄りの生活が目に浮かびやすい記録です。
本人の言葉をたくさん記録に書いてくれるため、ご家族からも好評です。
「手技(しゅぎ)にはあまり自信がない」と言っている看護師ですが、最低限のガーゼ保護や胃ろう注入は問題なくできます。
他の看護師からの視点だと、それで十分とは言えないかもしれませんが、訪問診療や往診の立ち合いでもきっちりと伝えることは伝え、確認するところは確認し、記録もしっかりと作ってくれるので他の看護師や介護スタッフ、家族からの信頼が厚く存在意義が大きいです。
もちろんそこまでの記録が書けるということは、よく入居者様の話を聞いていることでもあります。
つまり「よく話を聞く」ということは、看護師としてとても大切なことだと思いますし、それを望んでいる人は多いのだと思います。
3:まとめ
今日のお話は全くの個人的な意見でした。
ハピもも的、尊敬する看護師さんは以下のような人たちです。
・家族のケアまでできる人
・やる時には、きっちりとやる人
・話をよく聞き、記録が家族目線の人
どこの職場でも当てはまると思いますが、施設でもこのような看護師さんは概ね高評価な人だと思います。