もくじ🔖
1:【ビジネス】個人店経営者、市役所職員必見!プレミアム付き商品券のメリットとデメリット
期間限定で国や県、市町村が企画して、飲食店や小売店の景気回復を目的として発行されるプレミアム付商品券。
お店だけでなく消費者にとってもプレミアム分(金額は市町村によって異なります)のメリットがあります。
2019年の消費増税の際にも発行されましたが、2020年は新型コロナウィルスの影響もあり各自治体で独自に追加の経済政策としてプレミアム付き商品券を発行しています。
すでに終わってしまったところもありますが、新型コロナウィルスの影響が長引けば今後発行されるところがあるかもしれません。
消費者にとってもお店にとってもメリットの大きいプレミアム付き商品券ですが、扱い方に注意が必要なケースもあります。
せっかくプレミアム付き商品券を導入しても、行政への不信感やお店からのクレームといったケースもあります。
そこで今回はプレミアム付き商品券が成功している茨城県取手市の事例を紹介したいと思います。
これからの時代におけるケーススタディの一例になれば幸いです。
2:プレミアム付き商品券のメリット。取手市の成功事例
はじめにお断りですが、私の実家は取手市で小さなお店を経営しているのでお店側と消費者側の目線でのお話になります。
行政側からの目線ではないことをあらかじめご了承ください。
2−1:全世帯が対象
2020年に実施された取手市のプレミアム付き商品券の購入対象者は全世帯が対象でした。
「1万4千円分の商品券を1万円で販売する40%プレミアム付商品券(1世帯2冊まで)を発行いたします。」(取手市のホームページより引用)
非課税世帯や3歳未満の子供が属する世帯主が対象だった2019年の消費増税の時に発行されたプレミアム付き商品券は限られた人にしかその恩恵があずかれませんでしたが、今回の取手市の「全世帯が対象」というのは非常に優秀だと思います。
自治体によって財布事情が異なるので、全て取手市のようにできるわけではありませんが、経済政策としては思い切った政策を期待してしまうのが市民感情であることも確かです。
2−2:購入金額に対して40%のプレミアム付き
1世帯2冊まで購入できるので、最高20,000円でプレミアム付き商品券を購入すれば28,000円分の買い物ができることになります!
40%ものプレミアムが付く上に全世帯が購入対象なのは珍しいかもしれませんが、消費者やお店側からすると本当に優秀でありがたい経済政策と言えます。
2−3:大型店舗だけでなく小規模店でしか使えないプレミアム付き商品券をセットにした
どうしてもスーパーや大手ドラッグストアなど日用品を購入する時にプレミアム付き商品券を使いたくなるのが庶民の感覚ですが、小規模店舗でしか使えない商品券をセットにしたところがファインプレーの一つだと思います。
こうすることで地元商店の救済という意味合いが強くなり、経済政策の効果が上がりやすいと感じます。
2−4:県と連携して加盟店には消毒液の設置やソーシャルディスタンスの確保などの感染症対策を義務付けた
取手市のプレミアム付き商品券を取り扱う加盟事業者には、消費者が安心してお店で買い物や食事ができるよう、県が定めた新型コロナウィルス感染予防対策のガイドラインに従って営業するよう義務付けました。
さらに取手市は加盟事業者自ら新型コロナウィルスの感染予防対策を行い、それを宣言し「感染防止対宣誓書」を店舗に掲示することを義務付ました。
これにより、「消費者の安全」「消費者の生活費支援」「事業者の売上支援」の一石三鳥とも呼べる政策に成功しました。
2−5:事業者に対して5%の還元
売り上げの対価としてプレミアム付き商品券を受け取った事業者が商工会議所などに持ち込む際に、5%の手数料を上乗せして振り込んでくれることも事業者にとってはメリット。
実際に、プレミアム付き商品券は裏に店舗の印を押して商工会議所などに持ち込む必要があります。
それも毎日対応してくれるわけではなく、曜日と時間が決められているのでその時間に持ちこまなければなりません。
つまり営業時間や休みの日に出向く必要があるのです。
そうした事業者の手間についてもきめ細かく配慮しているのが素晴らしいところだと思います。
3:プレミアム付き商品券のデメリット
前章の裏返しになりますが、デメリットも存在します。
それを一つずつ見ていきます。
3−1:自治体によってはプレミアム付き商品券を購入できない世帯がある
前述の取手市のように「全世帯が対象」という方がレアだと思います。
そのため、所得によって購入できる人が限られていたり、小さな子供がいる世帯に限るなどの制限があるところもあります。
それ以外にも自治体全体で「限定5000冊まで」といったように制限が設けらていて、発売と同時に売り切れてしまうこともあります。
「早い者勝ち」にすると、買えなかった人たちの不満が自治体に向かうこともあり得るのでは?
私はそのように思ってしまいます。
3−2:加盟事業者になるためには申請が必要
これはどの行政対応にも言えることですが、補助金をもらったりする時や加盟店になる時に申請は必須です。
そのため申請を面倒くさがって申請しない事業者も一定数存在します。
そもそもプレミアム付き商品券が始まることを知らなった、ということもあります。
商工会議所や組合に入っていれば情報は流れてきますが、開店したばかりの事業者や、どの組合にも属していない事業者には「知らなかった」ということがあるのも事実です。
3−3:現金ではないので仕入れの支払いなどには使えない
当たり前ですが、プレミアム付き商品券は現金や手形のように流通させることができません。
どういうことかというと、現金商売が基本の小規模事業者にとっては現金化できるまでにタイムラグが生じるというデメリットが存在するわけです。
これに対応するため、お客さんがプレミアム付き商品券ばかりで支払いをされる場合はある程度の現金を支払いのために用意しておく必要があります。
3−4:プレミアム商品券で支払った時にお釣りがもらえない
例えば2,700円の買い物をした場合、プレミアム付き商品券で3,000円分支払ってもお釣りがもらえません。
こういう場合は2,500円分のプレミアム付き商品券+200円分の現金(もしくは電子マネー、カードなど)で支払うことになります。
今は500円単位で使えるプレミアム付き商品券が主流なので「お釣りがもらえない」というのはデメリットというよりは注意事項ですね。
3−5:発行自治体以外の県や市町村では使えない
そもそも自治体がそこに住所を置く個人や事業者を支援する目的で作られている制度なので、他の自治体では利用できません。
例えば取手市が発行するプレミアム付き商品券は、取手市内の加盟店でのみ使用できるといった感じです。
4:まとめ。プレミアム付き商品券の取り扱い加盟店にならないと売り上げが下がるリスクがある
これが今日、1番言いたいところです。
今まで見てきたように、プレミアム付き商品券はかなり多くのメリットがありますが、事業者は申請しなければ取り扱い加盟店になれません。
申請そのものは決して難しいものではないのですが、僅かながらの時間と手間がかかるのも事実です。
もし事業者がプレミアム付き商品券の取り扱い加盟店にしなかったらどういうことが起きるでしょうか?
結論、プレミアム付き商品券の使用可能期間に機会損失が発生してまう恐れが大きくなります。
たとえ自分のお店の常連客であっても、プレミアム付き商品券が使えなかったら他の店に行ってしまわれることがあるのです。
逆にプレミアム付き商品券の加盟店になっていれば、普段は来ない顧客を呼び込める可能性もあります。
例えば2件の飲食店が並んでいる場合、「プレミアム付き商品券が使えない、いつもの店」と「プレミアム付き商品券が使える、気にはなっているが入ったことのない店」では後者を選ぶ消費者も多いと思います。
プレミアム付き商品券の取り扱い加盟店になる目的は「売り上げを向上させる」という目的だけでなく、「売り上げを落とさないための施策」としての目的が大きいことに事業者は注意が必要です。
もし今回取り扱い加盟店の申請をしそびれてしまった方は、次の機会は是非申請するようにしましょう。