「パルスオキシメーター」って何ですか?
病院や介護施設にある血中酸素飽和度を測る医療機器だよ。
今日は最後まで読んでいただくと、パルスオキシメーターの使い方が分かるようになります。
パルスオキシメーターを1個持っていると命に関わる疾患を早期発見することができます。特に肺炎や胸水の発見をすることができるので、家に1個あると苦痛が出る前に発見できる可能性が大きいです。
もし購入するときは、最後に紹介する「家庭用」で十分ですよ。
もくじ🔖
1:【救急対応】苦痛は最小限に!救える命を救え!全世帯に推奨!パルスオキシメーターの使い方
各家庭にある医療機器といえば、血圧計と体温計が多いのではないでしょうか?
中には今日のテーマのパルスオキシメーターを持っているご家庭もあると思います。
しかし血圧計や体温計に比べると、まだまだ持っている人が少ないのが現状ではないでしょうか?
少なくとも私の周りでパルスオキシメーターを持っている人はかなり少ないです。
新型コロナウィルスの流行で注目を集めているパルスオキシメーターですが、個人的には肺炎や胸水などの高齢者が陥りやすい疾患や症状を発見する機器なので一家に1個あっても良いと思っています。
いや、むしろパルスオキシメーターがないのは不安で仕方がない気さえします。
今日は、イマイチ使い方がわかりにくいパルスオキシメーターについてご紹介します。
2:高齢者の死因の4位は肺炎。パルスオキシメーターは肺炎や胸水の早期発見の道具
まずは高齢者の死因を理解しておくと良いと思います。
「がん」「心疾患」「脳血管疾患」に次いで「肺炎が死因の4位」となっています。
詳しくは厚生労働省のリンクを貼っておきますので、こちらでご確認ください。
厚生労働省「死因順位(第5位まで)別にみた年齢階級・性別死亡数・死亡率(人口10万対)・構成割合」
誤嚥性肺炎など高齢者の死因の第4位となっている肺炎ですが、もしかしたら一般の家庭でその兆候を見つけることは難しいかもしれません。
ご家族に医師や看護師などの医療従事者がいれば「肺炎かも?」とピンとくることはあると思いますし、適切に観察してその兆候に気づいてくれるかもしれません。
でもそうでないご家庭の場合、今まで誰も肺炎になったことがなければ「風邪かな?」と思ってしまい、肺炎の兆候を見逃してしまうことが多々あるのが現状かも。
肺炎になると熱が出てきたり呼吸苦が出てきて救急車を呼ぶことになると思いますが、病院に行って初めて「肺炎」に気づくことが多いのではないでしょうか?
そして病院のレントゲンで肺の写真を撮った時には、すでに肺が真っ白に写っていて即入院ということも。
もし家庭にパルスオキシメーターがあって、もし適切な使い方を知っていたら、対応が全く変わると思います。
私はつねづね、介護施設で働いていて「各家庭にもパルスオキシメーターがあれば、肺炎で死なずに助かる人もいるのではないか?」と思っています。
介護施設にはパルスオキシメーターがあります。看護師もいます。
医師との連携も、家庭よりはよく取れていると思います。
それでも「あれ?」と思ったのと同時に、肺炎の兆候を最初に見つけるのはパルスオキシメーターです。
早期に発見して受診して、大事に至らなかったことは数知れず。
でも逆に言うと「もう1日遅かったら、、」と怖くなる時もたくさんありました。
できることなら、お年寄りに少しでも苦しい思いをさせることなく治療に結びつければ、と思い今日の記事を書いています。
そして胸水もとても怖いものなので、浮腫み(むくみ)が見られたら早めに病院に受診するようにしてください。
3:パルスオキシメーターを使う意味と、使い方
3−1:そもそもパルスオキシメーターってなに?
専門的な解説は医療看護の専門書やメーカーの取扱説明書に任せるとして簡単に言うと、パルスオキシメーターは血中の酸素飽和度を測るものです。
つまり「血中にどれだけ酸素が取り込めているか?」ということがわかります。
「これがわかることで何が良いのか?」というと、肺が正常に機能しているかどうかがわかります。
余談ですがパルスオキシメーターは、酸素が薄い高い山を登るときに登山者も使ったりもします。
3−2:パルスオキシメーターの使い方
スイッチを入れてクリップのように人差し指や中指に挟むだけです。
しかしクリップほど挟む力はなく、優しく挟んでくれるので全く痛くないです。そのため体には負荷がかかりません。
商品にもよりますが、挟んだら8秒くらい待ってください。
もし指先が冷たくなっていたらエラーが出ることがありますので、その時は測る前に少し手を握ったりしてあげて温めてあげてください。
あと、センサーが爪の側に行かないように気をつけましょう。
3−3:重要!パルスオキシメーターの数値の見方
なんと言っても大切なのは「SpO2」と書かれているところの数値です。
「SpO2」の読み方は「エスピーオーツー」です。
パルスオキシメーターは同時に「血中酸素飽和度(SpO2)」と「脈拍数」の両方を測ってくれます。
ちなみに脈拍数は病院や施設では「Pulse Rate(プルス)」とも呼ばれ、略して「PR」と表現されることもあります。
このことからパルスオキシメーターに表現される「SpO2は血中酸素飽和度」、「PRは脈拍数」と理解しておけばOKです!
3−4:知らないと怖い、SpO2の数値が表す意味
そしてここからが非常に大切なところです。
表示されたSpO2の値を正しく理解しておかなければいけません。
SpO2は94%以下で呼吸不全を疑います。
再検してもSpO2が94%を超えてこない時は、すみやかに医師に相談しましょう。
そして、SpO2が90%を下回っていたら迷わず救急車を呼ぶレベルだと思っておいて良いと思います。
24時間看護師がいる施設で医師や看護師の目が常に届いており、すでに肺炎と診断されて適切に治療している人はこの限りではありません。
しかしそれ以外の人が家などで急に胸が苦しくなったり熱が上がったり、あるいはそのような症状がなくてもSpO2が90%を下回ったら、つまり80%台になっていたら私は迷わず救急車を呼んでいました。
あってほしくはないことですが、もし救急車を呼ぶことがあったら119番に電話して、落ち着いて「酸素が80%台から上がってきません!」と伝えてください。
状態を伝えるにはこれで十分です。
たとえば以下のような感じです。
指令本部「火事ですか?救急ですか?」
あなた「救急です」
指令本部「そちらの住所はどちらですか?」
あなた「○○市△△町×丁目□□です」
指令本部「どうされましたか?」
あなた「私の家族なんですが、酸素が80%台から上がってきません!」
指令本部「わかりました。救急車を向かわせます。あなたのお名前を教えてください」
あなた「○○です」
だいたいこんな感じですので、落ち着いて電話すれば大丈夫です。
ちなみに救急車には酸素(酸素ボンベ)が載っているので、血中酸素濃度が80%代に下がっているときは自家用車で病院に連れて行くのは避けて救急車を使うべきだと思います。
95%〜100%:正常
94%以下:呼吸不全の疑いあり
90%以下:迷わず救急車を呼ぶ
4:まとめ
今日は家庭でも肺炎や心不全による胸水の貯留など、命に関わる疾患の発見につながるパルスオキシメーターについてご紹介しました。
高齢者がいらっしゃるご家庭ではもちろん、若い人だけのご家庭でもいざという時のために「体温計」「血圧計」「パルスオキシメーター」の3点セットはご家庭に揃えておいて、「体調がおかしいな?」と思ったら日頃から使っていることがとても大切だと思います。
私も家で義父に「浮腫み(むくみ)」の心不全の兆候が出たときに使用してすぐに病院に行き、結果、大事には至りませんでした。
日頃からこれらを使うことによって、肺炎や胸水にならないように意識が向けばとても嬉しいですし、何より1人でも肺炎や胸水で苦しい思いをする人が少なくなれば嬉しいです。
パルスオキシメーターの使い方についての、より詳しい専門的な情報を知りたいかたは一般法人社団日本呼吸器学会による「パルスオキシメーターの使い方」のページをご覧ください。