厚生年金ってたくさんもらえるんですよね!?
残念ながら今後は厳しいものになることが予想されているよ。厚生労働省のデータを使いながら現状を詳しく見ていきます。
もくじ🔖
1:【老後のお金】厚生年金受給額の平均は生活保護費と同レベル!?
「年金が将来もらえない」「もらえてもごくわずか」と思っている人は多いのではないでしょうか?
それはあながち間違いではありません。
すでに多くの人がご存知の通り、日本のような少子高齢化の社会においては若い世代ほど将来もらえる年金額が減っていくのは宿命みたいなものです。
(逆に子供が多い社会では年金制度は充実したものになります。)
今や会社勤めの一般的なサラリーマンの厚生年金受給額は生活保護と同レベルになっています。
ひと昔前までは、サラリーマンは「一流企業に勤めて定年まで働けば退職金ももらえる上に厚生年金があるので老後も安泰」などと思われていましたが、すでにそれは過去のこと。
今は厚生年金受給者ですら、老後は険しいものになっています。
日本政府は定年を60歳→65歳→70歳と引き上げるように企業に要請していたり、NISA(少額投資非課税制度)やiDeCo(個人型確定拠出年金)などの法整備を行い「自分で自分の老後のマネープランニングをしてね」と国民に迫っています。
問題は現状の深刻さに気付いていない人があまりにも多いこと。
一部の人は気付いていて(勉強していて)すでに対策を取っている人も多いと思います。
今日は、1人でも多くの人に現状をきちんと理解していただき、今から各人が老後の対策を取ろう(行動を変えよう)と思っていただきたいがためにこの記事を書きます。
ちなみに厚生年金被保険者の呼び方が平成27年10月から1号〜4号で分けられて呼ばれるようになっているので、ザックリと下の表に書きました。
そして今日のお話は主に第1号厚生年金被保険者(一般的な会社勤めのサラリーマン)となっています。
第1号厚生年金被保険者 | 一般企業の厚生年金加入者 |
第2号厚生年金被保険者 | 国家公務員共済加入者 |
第3号厚生年金被保険者 | 地方公務員共済加入者 |
第4号厚生年金被保険者 | 私立学校共済加入者 |
2:平均の厚生年金受給額
2−1:一般的な会社勤めのサラリーマンの厚生年金保険の平均受給月額
さっそく厚生労働省が発表している調査結果から見ていきましょう。
結論から言うと、厚生年金保険(第1号)受給者の平均年金月額は、平成30年度末現在で、老齢年金は 約14万6千円となっています。
<厚生年金保険(第1号) 受給者平均年金月額の推移>
老齢年金(基礎年金含む) | |
平成26年度 | 147,513円 |
平成27年度 | 147,872円 |
平成28年度 | 147,927円 |
平成29年度 | 147,051円 |
平成30年度 | 145,865円 |
ちなみに、上記の「厚生年金保険・国民年金事業の概況」というレポートを読むときに「受給者」の平均と「受給権者」の平均の2種類のデータが示されていますので注意が必要です。
今回紹介したのは現実に近い方の「受給者」の平均をご紹介していますが、平成30年度の「受給権者」の月額平均は約14万3千円でした。
考えが甘っちょろい私は、国民が混乱しないようにちょっとした「データには受給者と受給権者があるので間違えないでくださいね!」くらいのエキスキューズがあっても良いと思うのですが、そんなことを思うのはやっぱり私だけでしょうか、、😭
2−2:年齢別に見る平均年金月額
ここでは一般企業に勤めていたサラリーマン(第1号厚生年金被保険者)に加えて個人事業主などの「国民年金しか加入していない人」のデータも併せてご紹介しようと思います。
<年齢別老齢年金受給権者数及び平均年金月額>
(平成30年度末現在)
厚生年金保険(第1号) | 国民年金 | |
65歳 | 144,765 | 57,090 |
66歳 | 144,422 | 56,906 |
67歳 | 142,508 | 56,836 |
68歳 | 144,067 | 56,743 |
69歳 | 146,754 | 56,679 |
70歳 | 147,117 | 56,781 |
71歳 | 146,279 | 56,621 |
72歳 | 145,658 | 56,432 |
73歳 | 147,453 | 55,998 |
74歳 | 147,997 | 55,971 |
75歳 | 149,700 | 55,654 |
76歳 | 151,936 | 55,437 |
77歳 | 154,092 | 55,287 |
78歳 | 156,691 | 56,972 |
79歳 | 158,319 | 56,775 |
80歳 | 160,124 | 56,622 |
81歳 | 160,712 | 56,647 |
82歳 | 161,829 | 56,279 |
83歳 | 162,958 | 56,141 |
84歳 | 163,245 | 55,908 |
85歳 | 162,637 | 55,504 |
86歳 | 163,477 | 55,009 |
87歳 | 164,675 | 54,415 |
88歳 | 167,223 | 54,429 |
89歳 | 168,293 | 53,578 |
90歳以上 | 160,367 | 47,803 |
今回の例で注目していただきたいのは68歳の人の144,067円という数字です。
この数字と次にお話しする生活保護の受給額を比べてみたいと思います。
3:生活保護の受給額
生活保護の受給額については同じく厚生労働省の平成30年のデータを用いて比較してみようと思います。
<最低生活保障水準の具体的事例(平成30年10月)>
①高齢者単身世帯【68歳】
東京都 | |
生活扶助 | 79,550 |
住宅扶助(上限額) | 53,700 |
合計 | 133,250 |
②高齢者夫婦世帯【68歳、65歳】
東京都 | |
生活扶助 | 120,410 |
住宅扶助(上限額) | 64,000 |
合計 | 184,410 |
厚生労働省「生活保護制度の概要等について(平成31年3月18日)」より
ここで注目していただきたいのは、生活保護では1番高いとされる東京都(1級地−1)の数字ではありますが、68歳の人で133,250円という数字です。
68歳の厚生年金保険(第1号、つまり一般的なサラリーマン)の平均年金月額が144,067円でした。
もしこの68歳の人に、ずっと専業主婦だった65歳の奥様がいらっしゃった場合、奥様の国民年金57,090円が上乗せされ、夫婦の年金月額は201,157円となります。
高齢者夫婦世帯【68歳、65歳】の生活保護費で見ると184,410円です。
簡単にまとめると以下の通りです。
年金受給額 | 生活保護費 | |
68歳単身 | 144,067 | 133,250 |
高齢者夫婦世帯【68歳、65歳】 | 201,157 | 184,410 |
「なんだ、やっぱり年金の方が多いじゃないか」と思われるかもしれませんが、厚生年金保険受給者の場合は、この金額から税金や国民健康保険料や介護保険料が差し引かれます。
一方、生活保護の場合は税金は無税である上に医療費もかかりません。
そう考えると「それってどうなの?」という話になってくるのがお分かり頂けると思います。
4:結論。死ぬまで働くか若いうちに貯める
極論を言うと「死ぬまで働くか」「若いうちに貯めるか」ということになると思います。
今日のお話は不安を煽ることが目的ではなく現実を理解していただくことを目的としています。
定年の引き上げ、再雇用の推進、女性の社会進出や副業の推進、NISAやiDeCoの利用の推進など、ここ10年足らずの間に日本は大きく様変わりしてきています。
現実を知らなければ、時間だけが過ぎていき歳を取ったときに後悔するかもしれません。
でも早めに対策を立てることで、より明るい未来が手に入ることを信じています。
もちろんそれは皆さま次第です。
このブログが、まずは現実をしっかりと把握して次の一手を考えるきっかけになれば幸いです。