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【相続】故人に借金があることが判明!相続はどうなる?

ほうきに乗った女の子の写真

1:【相続】故人に借金があることが判明!相続はどうなる?

今日は短いお話ですが、該当する人にとっては極めて重要です。

テーマは「借金の相続はどうすればよいのか?」ということです。

結論から言うと借金を相続したくない場合は「相続放棄」や「限定承認」の申述(しんじゅつ)という手続きを家庭裁判所で行います。

「借金の相続?」

そう思われた人もいるかもしれませんが、相続する遺産にはプラスの遺産もあればマイナスの遺産もあります。

何も手続きしなければ、3ヶ月経った後に「単純承認」といって、自動的にすべての財産を相続することになります。

もちろん負債が多い場合は負債も相続することになるので極めて注意が必要です。

ちなみに今日のアイキャッチ画像は「放棄」と「ほうき🧹」を掛けてます♪

2:「相続放棄」と「限定承認」

2−1:相続放棄

用語の説明ですが、「相続放棄」は非常に分かりやすいと思います。

文字通り相続をすべて放棄することです。

ここで注意が必要なことは「すべての財産を放棄する」ということです。

プラスの財産だけを相続して、マイナスの財産だけ放棄することはできません。

言葉を代えると「相続人になる権利を放棄する」とも言えます。

明らかにプラスの財産がマイナスの財産より多いときは相続すべきと思いますが、マイナスの財産しかない場合やマイナスの財産の方がプラスの財産より多いことが明白な場合は相続を放棄することができます。

2−2:限定承認

限定承認とは、プラスの財産とマイナスの財産の両方があるときに、プラスの財産の範囲内でマイナスの財産も引き継ぐ方法です。

「プラスの財産が多い場合」と「マイナスの財産が多い場合」の2パターンありますので以下で説明します。

プラスの財産が多い場合

例)プラスの財産3000万円、マイナスの財産1000万円の場合

3000万円 − 1000万円 = 2000万円を相続

一方、マイナスの財産が多い場合はこうなります。

マイナスの財産が多い場合

例)プラスの財産1000万円、マイナスの財産3000万円の場合

1000万円 − 3000万円 = −2000万円となるが、この部分には責任を負いません。

「負債の方が多いのなら最初から限定承認でなく相続放棄を選択するよ!」という人がいるかもしれません。

しかし、実際には次に挙げるような人が限定承認を選択するケースが多いです。

2−3:故人と離れて暮らしている人が限定承認を選択するケースが多い

長い間、故人と離れて暮らしている親族が相続人になった場合、プラスの遺産(資産)が多いのかマイナスの遺産(負債)が多いのか把握できないことがあります。

このような場合に限定承認がよく選択されます。

3:手続きは原則「相続開始後3ヶ月以内」に裁判所へ。そうでなければ自動的に相続することに

3ヶ月。

長いと思われた方は要注意です!

相続放棄や限定承認の手続きの期限は3ヶ月しかありません!

3−1:限定承認を選択する人は要注意!相続人全員の合意が必要

見出しに書いた通り、限定承認を選択する場合は相続人全員が合意し共同で行う必要があります。

相続人の中で1人でも反対する人がいたら限定承認ができないことになっています。

これは遺産分割協議でも同じ事が言えますが、他の相続人が遠くにいる場合も多々あります。

場合によっては全員の同意を取るのに一苦労ということも。

遠くに離れていても相続人同士の関係が良好ならまだスムーズに事が進みますが、そうでない場合はまた別の問題が起こる事もあり得ます。

そうならないためにも普段から良好な関係の維持に努める事が大切なのは言うまでもありません。

3−2:相続放棄や限定承認の判断ができない時は「伸長」の申し立てを行う

自分が相続人になったことを知った日から3ヶ月以内に放棄や限定承認の判断ができない場合は「伸長」の申し立てを行い期間を延長してもらうことができます。

裁判所のホームページ「相続の承認又は放棄の期間の伸長」についてはこちら

管轄裁判所の検索はこちら

4:まとめ。手続きは弁護士さんや司法書士さんに依頼するケースが多い

マイナスの財産は相続分に応じて分割されるので遺産分割の対象外となることが多いですが、場合によっては遺産分割協議で返済の手続きをする相続人を決めることもできます(マイナスの財産を引き受ける相続人を決めることができる)。

また実際はマイナスの財産だと思っているものが、そもそも存在しないものもあります。

住宅ローンの場合は借入時に団体信用生命保険に加入させられること多いため、もし債務者が亡くなった場合はその保険金で借金がチャラになることがほとんどです。(しかし本当に故人が団体信用生命保険に加入していたかどうかの確認は必要)

私は長年老人ホームに勤めていたので、老人ホームの職員からの目線ですが、お年寄りが亡くなられた後の相続の問題は弁護士さんや司法書士さんに依頼するケースが結構たくさんありました。

そもそも「遺言」が存在している場合はあらかじめ弁護士さんなどが介入しているケースがほとんど。

相続人が1人か2人の場合や明らかに借金がなく現金だけの相続というシンプルな場合はご家族だけで相続の手続きをする場合もありますが、不動産、有価証券、貴金属、美術品や骨董など分割する遺産が多い場合などは専門家の人に依頼するのは必須。

中には「弁護士さんか司法書士さんを紹介していただけませんか?」といった依頼を受けることも。

そういった場合は、施設で付き合いのある弁護士さんや司法書士さんの中から評判の良い人を紹介する事が多かったです。

お年寄りのお身体をお預かりしている施設職員は何かと弁護士さんや司法書士さんと関わる事が多いんです。

生前の財産の管理や契約の際に介入していただく事がほとんどですが、しょっちゅう電話やメールでやり取りをしているので、良い弁護士さんや司法書士さんは施設職員の立場からも何となく分かります。

施設の利用者さんだけでなく、施設のオーナーさんも亡くなることがあるので当社としては土地建物の賃貸契約書の変更や覚書の作成など法的な手続きをすることもありました。

新しいオーナーさんはとても良い人でしたが、それでも遠くに住んでいる人も含め相続人全員の印鑑を集めるのに苦労されていた記憶があります。

今までの経験を通して個人的な意見としては、相続に関わることは大きなお金が動く上にやり直しが効かないことから、心配な場合は迷わず専門家に相談するのが良いと思います。

弁護士さんに依頼したにも関わらず、相続人のうちの1人が全く同意せず話がほとんど進捗せずに困ったケースもありました。

弁護士さんや司法書士さんの中にも相続の問題に慣れている人と、慣れていない人がいるので、相続問題に慣れている人に絶対に相談すべきです。