退職金をもらったら、いっぱい苺を食べたい!
ももたんは無駄遣いしないから一時金で受け取るといいかもね!
もくじ🔖
1:【老後の資金作り】退職金は一時金で受け取るのが基本。しかし年金として受け取る方が良い人も。
昭和や平成のようにサラリーマンに対して多額の退職金が支払われていた時代は終わりましたが、公務員や一部の大手企業だけでなく中小企業でも退職金の制度を残しているところはまだまだたくさんあります。
「2018年9月度 退職金・年金に関する実態調査」(経団連)によると、新卒で入社し一般的な昇進・昇格を経て60歳で定年退職した場合の退職金は大卒で約2256万円、高卒で約2038万円です。
えっ!!そんなに!?
正直私はこのデータを見てそう思いました。
そして退職金について言えば、入社する時や、すでに勤めていても途中から「退職金の受け取り方を決めてください」と会社から言われることも増えています。
実際に私の勤めていた会社でも、途中から退職金の制度が始まったり、その受取方法を「一時金」「企業年金」の中から選択して申請するよう通達がありました。
以前は退職金は、退職時に一括して受け取ることがほとんどでしたが、現在では「一時金のみ」「すべて年金」「一時金と企業年金の併用」など受け取り方も多様になってきました。
今日はどの受け取り方がお得なのか?
結論から言うと一時金のみで受け取るのが税金的には1番お得です。
しかし受け取る金額によっては年金で受け取る方法にも一定のメリットがあります。
退職金に関わる所得税と合わせて説明します。
2:一時金で全額受け取った場合
●勤続年数が20年までの場合
40万円×勤続年数(80万円より少ないときは80万円)
●勤続年数が20年を超える場合
70万円×勤続年数-600万円
障害者となったことにより退職した場合は、上記で計算した金額に100万円を加算
A:課税退職所得金額 | B:税率 | C:控除額 |
1000円〜1,949,000円まで | 5% | 0円 |
1,950,000円〜3,299,000円まで | 10% | 97,500円 |
3,300,000円〜6,949,000円まで | 20% | 427,500円 |
6,950,000円〜8,999,000円まで | 23% | 636,000円 |
9,000,000円〜17,999,000円まで | 33% | 1,536,000円 |
18,000,000円〜39,999,000円まで | 40% | 2,796,000円 |
40,000,000円以上 | 45% | 4,796,000円 |
前述の例でいうと、高卒の人が18歳で高校を卒業して就職し、そのまま60歳まで(42年間)勤め上げた場合の退職所得控除は以下のようになります。
60歳まで42年間勤めた高卒の方が退職金2038万円を受け取った場合
70万円 × 42年 - 600万円 = 2340万円 ←退職所得控除額
受け取る金額より控除額の方が多いため課税なし
次に大卒の人が22歳で大学を卒業して就職し、そのまま60歳まで(38年間)勤め上げた場合の退職所得控除は以下のようになります。
60歳まで38年間勤めた大卒の方が退職金2256万円を受け取った場合
70万円 × 38年 - 600万円 = 2060万円 ←退職所得控除額
(2256万円 - 2060万円)÷ 2 = 98万円 ←課税退職所得金額
98万円 × 5% = 49,000円 ←課税額
つまり多くの人にとって退職金を一時金で受け取る場合、「所得税の課税がない」か「あってもわずかの金額」ということになります。
さらに社会保険料もかかりません。
国税庁のホームページはこちら
3:年金(公的年金+企業年金)で受け取った場合
いつも思うのですが、国税庁が使う税金の用語は理解しにくい時があります。
今回は退職金を一時金で受け取るか、年金で受け取るか?といったお話ですが国税庁ではサラッと「公的年金等」という言葉を使っています。
「公的年金等」の「等」って何?と思う人も多いと思いますので簡単に補足しておきます。
「公的年金等」に含まれるものは以下の3つです。
①国民年金法、厚生年金保険法、国家公務員共済組合法案などの法律の規定に基づく年金。つまり公的年金。
②恩給(一時恩給を除く)や過去の勤務に基づき使用者であった者から支給される年金。
③確定給付企業年金契約に基づいて支給を受ける年金など。いわゆる企業年金。
併せて、公的年金等以外の年金についても見ていきましょう
生命保険契約や生命共済契約に基づく年金、互助年金など
3−1:年金以外に収入がない65歳未満の人は年金額が108万円以上の場合は課税の対象
65歳未満の人の場合は60万円の公的年金控除が適用されます。
さらに合計所得金額が2400万円以下の人を対象とした基礎控除が48万円ありますので、合計すると108万円までは税金がかかりません。
ちなみに令和2年4月1日に基礎控除額が変更になっていますので、注意が必要です。一律38万円ではなくなりました!
納税者本人の合計所得金額 | 控除額 |
2400万円以下 | 48万円 |
2400万円超2450万円以下 | 32万円 |
2450万円超2500万円以下 | 16万円 |
2500万円超 | 0円 |
逆に言うと、108万円を超える金額を1年間(1月1日から12月31日まで)で受け取ると課税の対象になります。
もし仮に毎年受け取る年金額が200万だとした場合、所得税の金額は以下のようになります。
65歳未満の人が1年間に受け取る年金額が200万円の場合
200万円 - 108万円 = 92万円 ←課税所得金額
92万円 × 5% = 46,000円 ←課税額
課税される所得金額 | 税率 | 控除額 |
1000円〜1,949,000円まで | 5% | 0円 |
1,950,000円〜3,299,000円まで | 10% | 97,500円 |
3,300,000円〜6,949,000円まで | 20% | 427,500円 |
6,950,000円〜8,999,000円まで | 23% | 636,000円 |
9,000,000円〜17,999,000円まで | 33% | 1,536,000円 |
18,000,000円〜39,999,000円まで | 40% | 2,796,000円 |
40,000,000円以上 | 45% | 4,796,000円 |
3−2:年金以外に収入がない65歳以上の人は年金額が158万円以上の場合は課税の対象
65歳以上の場合は、公的年金控除が110万円に増額されます。
前述の基礎控除が48万円と合計すると158万円までは税金がかかりません。
しかし、158万円を超えると所得税がかかってきます。
65歳以上の人が年間200万円の年金を受け取った時の所得税の計算は以下の通りです。
65歳以上の人が1年間に受け取る年金額が200万円の場合
200万円 - 158万円 = 42万円 ←課税所得金額
42万円 × 5% = 21,000円 ←課税額
課税される所得金額 | 税率 | 控除額 |
1000円〜1,949,000円まで | 5% | 0円 |
1,950,000円〜3,299,000円まで | 10% | 97,500円 |
3,300,000円〜6,949,000円まで | 20% | 427,500円 |
6,950,000円〜8,999,000円まで | 23% | 636,000円 |
9,000,000円〜17,999,000円まで | 33% | 1,536,000円 |
18,000,000円〜39,999,000円まで | 40% | 2,796,000円 |
40,000,000円以上 | 45% | 4,796,000円 |
3−3:【重要】年金以外に収入がある人は、収入によって控除額に違いがあります
2020年以降は「公的年金等に係る雑所得以外の所得に係る合計所得金額」が「1,000万円以下」「1000万円超2000万円以下」「2000万円超」に分けられて公的年金控除額も変更になっています。
2019年までは公的年金控除65歳未満70万円、65歳以上120万円でしたが、そこが変更になっていますので注意が必要です。
国税庁ホームページ 公的年金等に係る雑所得の雑所得の速算表(令和2年以降)はこちら
4:まとめ。一時金か年金か、受け取る人の考え次第です
退職金は税の側面から見ると一時金の方がお得です。
年金の場合は少額とはいえ毎年所得税がかかってきます。
もし住宅ローンなどの負債が残っている人の場合、退職金を一時金でもらって一括返済を考えるかもしれません。
しかし老後の生活資金を残しておきたいのも事実です。
その場合は一括返済ではなく、退職金には手をつけないまま一部を繰上げ返済するという手もあります。
また年金で受け取る場合は一度に多額のお金が手に入るわけではないので、生活費として毎月計画的に支出できるというメリットもあります。
退職金を一時金で受け取ると、いわゆる「無駄遣い」してしまう人もいるかもしれません。今まで欲しかったスポーツカーを買ってみたり、、。
そもそも退職金は「老後の資金」という意味合いが強いので、安易に手をつけず堅実に老後の生活資金に取っておくのが鉄則です。
5:おまけ。退職時の税金に要注意!
会社を退職した年も月々もらう給料には普通に所得税が課税されます。
サラリーマンの人は給与天引きされているのが普通ですので、確定申告をすれば還付を受けられる可能性が高いです。(もし退職後に別の会社に再就職すれば、そこで年末調整されることになります)
退職金への課税は退職金への課税。
月々の所得税は月々の所得税。
きっちりと分けて考えてください。
「退職金の税金を払って、ハイ終わり!」ではありませんので注意が必要です。